研究課題/領域番号 |
26370422
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
中村 史 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20271736)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マハーバーラタ / 写本 / 神話 / 文学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、主として、研究対象のインド古典文学・叙事詩『マハーバーラタ』に関わって、研究会の主催、研究成果の公開準備、学会での口頭発表、を行い、また、関係の研究会・講演会・ワークショップに参加した。付随的に、研究成果の一部を一般向けの書物(共著)に書き下ろした。 まず、研究会主催としては――平成27年8月31日(月)~9月2日(水)、研究代表者の勤務する小樽商科大学において、大正大学特任准教授・種村隆元博士を講師として「サンスクリット写本研究会」を行なった。基準的な写本に加えて『マハーバーラタ』写本の解説が行なわれ、読解作業が進められた。本研究会は、将来的に研究代表者の研究範囲を『マハーバーラタ』写本にまで広げる可能性を大いに高めるものであった。また、ご参加いただいた北海道在住研究者の方々にも益するところがあったのであれば幸いである。 次に、研究成果の公開準備としては――『マハーバーラタ』神話・説話についての博士論文(平成26年度・北海道大学大学院文学研究科受理・思想文化学専攻宗教学インド哲学講座)を出版公刊すべく、改稿作業を行なった。この作業は平成28年度も続行し、平成28年度中に出版することをめざしている。この著書(単著)は、インド学分野では未発達といえる、『マハーバーラタ』の文学研究の1つのありかたを構築することを目的とするものである。 学会での口頭発表としては――平成27年12月19日(土)、インド思想史学会第22回学術大会(於京都大学・楽友会館)において、口頭発表「語り物『マハーバーラタ』の構想・技巧・異伝―「七仙人の名乗り」を例として―」を行なった。この発表内容は、上記博士論文の改稿作業の中で発展的に生まれたものである。『マハーバーラタ』神話の中に、種々の言語遊戯・語りの技法を多く見出した文学研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の現在までの進捗状況については、当初の研究計画以上に進展していると言える。なぜならば、1つには「研究実績の概要」欄にも記したが、将来的に研究代表者の研究において、『マハーバーラタ』写本を用いる可能性が高まってきた。また、研究の展開に伴い、『マハーバーラタ』の中に、予想以上の文学的要素を見出して来ている。これらは、当初、本研究を計画した際には予期していなかった事柄である。 さらには、研究の人的交流という点でも予測以上に実現できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、具体的課題としてまず、「研究実績の概要」欄にも記した現在改稿作業中の研究成果の出版を完了した方が良いと考えられる。それと同時に、新しく発展した研究内容を予定しているので、これを平行して進めてゆく。
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