本研究は、鬼文化・冥界表象を通して、日中説話文学史の融合を試みたものである。 「1中国における鬼話の話型パターン」では、鬼話の類型を提示した。「2冥婚譚に見る鬼文化と儒教の関係」「3鬼話のバリエーションとしての狐話」では、儒教思想が鬼話を、そして鬼話が狐話を生み出したことを論じ、「4冥界説話と定数観念の関係」「5『夷堅志』における定数説話」「『6古事談』に見る日本の官運説話の特徴」では、中国の冥界観念には定数観念の影響が強いことを論じ、「7『冥報記』における冥界観」「8『冥報記』は貞観の治を如何に描いたか」「9『冥報記』から『日本霊異記』へ」で、冥界表象の日中間の継承を論じた。
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