研究課題/領域番号 |
26370445
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
萬宮 健策 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (00403204)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スィンディー語 / 言語学 |
研究実績の概要 |
3年計画の2年目にあたる2015年度には、パキスタンおよびヨーロッパ(ノルウェー、スウェーデンおよびオーストリア)において現地調査を実施した。 パキスタンでは、スィンド州カラチおよびラホールにおいて、スィンディー語話者へのインタビュー調査を実施し、一次資料を収集した。また、5月のパキスタン訪問時には、研究成果の中間報告を、ムザッファラーバードで開催された国際会議の場で発表することができた。本報告は英語で行われ、その内容は、2016年度中に論集に発表予定である。 また、9月の日本南アジア学会全国大会においても言語学関連セッションを、その中で研究成果の一部を報告した。本報告では、社会言語学的な側面から、インド、パキスタンに居住するスィンド人の言語観等に関する報告を実施した。すなわち、インドに居住するスィンド人は、アイデンティティの核となるスィンディー語の家庭外での使用をあきらめ始めているように見える一方、それを特に悲観することなく、現状を冷静に受け入れている状況が明確になった。 ヨーロッパでの現地調査では、スィンド人は少なかったものの、対照研究的にパキスタン、インド出身者(移民)の言語使用状況を観察し、各種情報の収集に努めた。近年ヨーロッパでは、居住地の言語習得を課することが多く、ことにノルウェーやスウェーデンでは今回コンタクトして人のほぼ全員がノルウェー語やスウェーデン語を話していた。もちろん出身国の言語であるウルドゥー語やヒンディー語も必要に応じて用いており、多言語併用社会での言語使用状況の一端を垣間見ることができた。この点は、インド国内のスィンド人の状況と重なる部分が大きいと分析できる。 最終年度は、収集した資料をとりまとめ、論文として公表することを目的としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査の順序に多少の変更があったものの、情報・資料収集はほぼ予定どおりに進んでいる。また、2回の学会報告も行うことができたため、最終年度の最終報告に向けて、残された資料の分析を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
未整理の資料分析を行うとともに、必要であれば、補足調査をパキスタンで行うことを考えている。万が一、現地での補足調査がかなわなかった場合でも、電子メール等の利用により、最低限の情報確認、収集は可能だと考える。また、そうした調査を踏まえ、最終報告(学会での報告および論文としての公表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース構築に用いる予定の額を、資料の分析との関係で次年度に配分すべきと考え、謝金相当分が次年度使用額として計上されることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目までに収集したデータの分析、整理にかかる謝金および補足調査のための旅費として使用予定である。
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