研究課題/領域番号 |
26370445
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
萬宮 健策 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (00403204)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スィンディー語 / 音韻論 / 統語論 |
研究実績の概要 |
平成27年度には、短期ながら、パキスタンおよびインドでの現地補足調査を実施した。その際に、少なからず南アジア以外の地域に移民としてわたったスィンディーが、ヨーロッパ各地(具体的には、イギリス、フランスおよび北欧各国)に散在しており、彼らのスィンディー語使用状況も看過できないことが、インタビューを通じて判明した。彼らの多くは、1970年代ころから移民として居住し始め、その地域の言語を使用せざるを得ない環境におかれていながら、母語であるスィンディー語も使い続けているという。一方で移民2世以降は両親の母語には関心をさほど示していないという発言を複数得たため、移民の言語状況を研究対象とすべく、補足調査の必要があると判断した。 申請当初からある程度予測できたことではあったが、期間的な問題から、調査は難しいと考えていたが、今回のインド、パキスタンでの調査での上記のような理由から、やはり調査対象とすべきであると判断し、1年間の期間延長を申請し、認められた。この延長期間中には、日本国内のスィンディー語話者に対する補足調査も実施したいと考えている。 本(平成28)年度の補足調査により、具体的には、人称接尾辞の使用や、連接言語であるヒンディー語、ウルドゥー語からの影響が語彙だけでなく、文構造のレベルでもあらためて確認されたため、今後の文法記述に反映させていく予定である。英語からの影響に関しては、連接言語をとおしての変化なのか、英語から直接影響を受けたものかを見極める必要があるが、特に借用語彙の面で多大な影響が見られるため、音節構造の変化を含め、最終年度にそのデータを詳細に分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で触れたとおり、移民を対象とした補足調査の必要性があらためて照明されたため、1年間の期間延長を申請し、認められた。 3年間での実施が4年間となったため、その意味で多少遅れているものの、その延長で得られるデータは、非常に貴重だと考えられるため、研究の進捗自体には、大きな問題はないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成29年度には、前年度までに得られた情報を元に、補足調査を実施する予定である。また、その成果をまとめて、ウェブサイト上に公開し、学会での発表および論文としての発表により成果公開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施した現地調査で、移民として各地に居住しているスィンディーの言語は看過できないと判断したため、その補足調査の必要が生じ、1年間の期間延長を申請することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
補足調査として、海外調査を1回実施する予定である。具体的な訪問場所は、現在調整中であるが、パキスタン(短期)とそれに引き続きヨーロッパの1カ国になる予定である。
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