本科研プロジェクトでは、新たに物理学の手法である行列力学用いて、自然言語の統語構造で観察される特徴を導出する。最初に、生成文法理論の語彙範疇の素性であるNとVを行列関数に置き換え、名詞や動詞などの語彙範疇を定義し、主要部-補部で用いられる最初の併合を行列乗算に置き換えられ、指定部と語句などの他の併合がテンソル積に置換されることを示し、自然言語に見られる可能な語句の組み合わせ/配列を導き出し、物理学の概念から自然の説明が行えることを示唆した。又、同様に移動の際に観察される連鎖や統語構造のラベルも導かれることを示し、物理学の概念を理論言語学に応用することで、研究を新たな段階に押し進めた。
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