本研究は、フランス語で「avoir+過去分詞」、英語で「have+過去分詞」、日本語で「た」「ている」によって示される完了形式が、それぞれの言語でどのような内容を表し、どこまでが共通で、どこまでが異なるのかを明らかにするとともに、その違いがどこから来ているのか、ということを各言語の文法体系の違いに依拠して説明することを試みたものである。 完了の本質はEVENTとFOCUSの遊離であるが、その背後にはPASTという関係が常に存在していること、フランス語の場合、視点の働きがアスペクトにかかわること、日本語ではそもそもが「完了」の記述が「過去」に発展していくという違いがあること、などを明らかにした。
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