研究課題/領域番号 |
26370449
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩井 康雄 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 教授 (30273741)
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研究分担者 |
角道 正佳 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 名誉教授 (30144538)
渡邊 真実 (村田真実) 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 講師 (90707738)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 破裂音の有声性 / VOT / 音声教育 |
研究実績の概要 |
本研究は日本語における破裂音の「有声/無声」の対立を、多言語学習者の発話および知覚を利用して明らかにすること、通言語的視点を取り入れ、日本語においても方言差を視野に入れながら、有声性を捉え直すことを目的にしている。 平成27度については、研究代表者は昨年度おこなった対象言語の再検討を行い、声調言語である北京語、広東語、タイ語、ストレスアクセント言語であるインドネシア語、スンダ語、ピッチアクセント言語である中国朝鮮語、無アクセントであるソウル韓国語の話者に加え、声調言語であるベトナム語(ダナン方言)話者を観察対象に加え、観察調査を継続した。有声/無声または有気/無気の2項対立を持つ言語、有気/無気と同時に有声音をも併せ持つ3項対立の言語、同じ3項対立でも中国朝鮮語、韓国語のように無声音の系列で有気(激音)/無気(平音)に加え濃音を持つ言語など、アクセント体系と有声性の対立の多様性を確保する対象言語としている。なお、北京語話者、広東語話者と韓国語話者の有声性に対する意識とその発音の日本語母語話者による捉え方については、研究協力者とともに論文として公開した。 研究分担者(角道)は、他の言語についての通言語的考察を進めた。 また研究分担者(村田)は、日本語の方言について、近畿周辺部、つまり京阪式アクセントと異体系アクセントが接触する地域の方言として徳島と三重の方言を取り上げ、同一類内でのアクセントの分裂において、母音の広狭に加え、有声性の有無が要因となっていることを示した。なお、研究成果は国際学会等で発表するとともに現在印刷中の論考(2論文)において公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、研究代表者、研究分担者とも、研究成果の一部を論文、国際学会等で公開するなど、進捗状況としては概ね当初計画の到達点に達している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、本課題研究の最終年度に当たるため、引き続き多言語学習者の発話及び知覚を利用した調査を行うとともに、日本語の方言に見られる有声性の振る舞いの調査検討やpre-aspirationなどの現象の検討結果について、一応のまとめを行い報告書を作成する。
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