研究課題/領域番号 |
26370454
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
宮浦 国江 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (50275111)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知言語学 / 語用論 / ストーリー / エモーション / レトリックストラテジー / 定型表現 |
研究実績の概要 |
2014年度研究計画に従い、(1)言語知識と言語使用を繋ぐものとしてgrounding、特にnominal groundingについてLangacker (2008)、Taylor (2002)、Massam (2012)文献精読を行った。Massam (2012)では英語に限らずmass/countの現象を扱っておりより広い視野を得ることができた。(2)「レトリックストラテジー」に関してはLee (2001)、Fauconnier & Turner (2002)の文献精読を行った。特にレトリックストラテジーは、いわば書き手からの視点であるため、語用論の中でどのように理論形成をしていくかを考慮しながらの再読であった。(3)名詞的概念化・動詞的概念化については、道具・動物を表す名詞の動詞用法についてデータ収集、分析を行った。(4)言語単位としてのことわざに注目し、実例収集、分析考察を行い、そのコンストラクション・スキーマとしての機能に注目して、「文法における定型表現の役割」として学会発表を行った。(5)年度末にU. C. Berkeleyで学外研修を行い、Eve Sweesterに「文法におけることわざの役割」他の研究成果についてコメントを頂き、意見交換を行った。「ストーリー」の用語について再検討が必要との指摘を受けたので、今後検討課題とする。また、George Lakoffから構文文法についての最新情報を、John Searleから社会と言語の関係についての示唆を得た。(6) ことわざ、キャッチフレーズ、謝罪等負荷のかかる発話行為を含む実例を収集するため、事務補助員を雇用して、小説等からの音声ファイル化を行い、活用した。(7)認知言語学談話会(月例研究会)を開催し、上述の研究についての発表を始め、シミリについて、英語教育における「文法観」について、等の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、理論研究面と実証研究面の両面でほぼ順調に進めることができた。理論的研究面では、扱っていたテーマから、名詞的概念化、レトリックストラテジーにより重点がおかれ、subjectificationについてはやや手薄になったが、全体としては、count/massについての考察が深まるなど、概ね順調であった。実証的研究面も含めて、特に、ことわざについてのデータ収集、分析・考察が進み、コンストラクション・スキーマとしての機能、記憶・再生における有用性に着目して日本認知言語学会での発表に繋がったことは収穫であった。最近とみに関心が集まっている定型表現の研究として今後さらに進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の理論的研究面でやや手薄であったsubjectificationの考察を今年度計画の一つであるsentence adverbialsと関連づけて文献精読を行い、主観性、相互主観性についての考察を深めていく。実践的研究面では、引き続き、定型表現に注目しつつ、知覚動詞を用いたSVC構文分析から知覚と概念化の関係を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、パソコンを2014年度に購入予定であったが、所属研究機関の財務システム変更等諸事情により購入予定時期が遅れ、次年度の後発機種購入に予定を変更した。コーパスを利用した認知言語学的研究についての研究会を計画したが、講師をお願いする先生と日程調整がつかず開催不可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
2014年度に購入できなかったパソコン及び関連物品を2015年度に購入予定。2014年度に実施できなかったコーパスを利用した認知言語学的研究についての研究会を2015年度に実施予定。
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