研究課題/領域番号 |
26370454
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
宮浦 国江 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (50275111)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知言語学 / 語用論 / ストーリー的知識構造 / レトリックストラテジー / ディスコース / 定型表現 / 言語単位 |
研究実績の概要 |
平成27年度研究計画に従い、(1) sentential adverbials(文副詞類)について、従来の副詞分類を見た上で、形式面だけでなく概念的、ストラテジー的観点からの考察が必要であることを確認した。コーパス資料に基づき、ディスコース・ストラテジーとしての文副詞の機能を考察した。(2)言語の創造的使用の一例としてN-proof語の多義に注目し、3タイプに分類して、ブレンディングで概念構造を分析した。child-proofの拡張事例がブレンディングでは十分に説明できないことを指摘して、ストーリー的知識による説明を試み、「N-Proof語の意味論: ブリンディングと「ストーリー」的知識」としてまとめた。「ストーリー」的知識が、さまざまな言語単位の概念構造を解明するのに有効であることが確認できた。(3)認知言語学の英語教育への応用については、Littlemore (2009)の再精読を行った。(4) Littlemore(2009)に示唆を受け、count/massの概念化の違いを形容詞とのコロケーションで明確化するというアイディアを得て、いくつかのmass nouns/collective nouns/count nounsのセットで確認した。同時にcount/massの問題に、その中間点にcollective nounsをおく妥当性を確認した。(5)構文レベルのテーマとして、再度the [X is X is X] Constructionを取り上げ、言語データに基づく分析、構文としてのecological nicheの考察に加え、Langacker (2008/2011)のserial constructionの批判的検討、representative iconicityの現れとして叙述の確信度を高める構文としての分析、ディスコースでの構文用例の詳細な検討から構文[形式/機能]の全体像を把握した。(6)コーパス利用を取り入れた認知言語学的研究を進めるため「コーパスを利用した言語研究のためのワークショップ」を開催した。(7)認知言語学談話会(月例研究会)を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、理論研究面、実証研究面の両面でほぼ順調に進めることができた。 認知言語学的語用論研究の全体像を常に意識しつつ、人間の認知・経験に基づく意味論としての「ストーリー的知識構造」、言語体系における「言語単位」のとらえ方、言語使用に関わる「ディスコースストラテジー」のそれぞれの局面で具体例に基づく考察を進め、2015年度までの本務校の最終講義で、その概要を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終的に、認知言語学的語用論研究の全体像をという目標に向かって進めてきているが、本研究課題に言及した「エモーション」の部分が考察の前面に出てきていないので、最終年度にはその補強を意識しつつ、ストーリー的知識構造、様々なレベルの言語単位における言語単位の[概念/形式]の記述、言語使用の場面に即したディスコースストラテジーと言語表現、それぞれについてさらに研究を進め、著作にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、海外での資料収集、研究者との意見交換、学会参加を予定していたが、2015年度までの本務校退職年度にあたり、また海外研究者との日程調整ができず、実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度にアメリカ合衆国カリフォルニア大学(サンディエゴ、バークリー)にて、研究者との意見交換、および学会参加予定。
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