研究課題/領域番号 |
26370459
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
飯村 龍一 玉川大学, 経営学部, 教授 (80266246)
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研究分担者 |
加藤 澄 青森中央学院大学, 経営法学部, 教授 (80311504)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 問題解決プロセス / コーパス言語学 / 選択体系機能言語学 / メタ機能 / 日英語の言語体系 / 文法的メタファー / 談話分析機能 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、問題解決パターンの定式化に関する枠組の検討を行った。 まず、問題解決者である主人公の視点から、問題解決プロセスに関連する情報(主人公の特徴、物語の背景設定、物語のプロットなど)を分析するための接近法を構築した。具体的には、主人公が、自分自身や環境との相互作用の中で、自己とまわりの環境をどのように理解し、それらにどのように働きかけるかという点を「意味敏感性」(安西、1985)の視点から捉え、個人の経験と知識をどのように構造化しながら、問題解決に臨んでいるかという点を人間の心理的機能(安西、1985)(①記憶とイメージ、②思考、③問題を理解すること、④問題を解くこと、⑤行うこと吟味すること、⑥感情のコントロール)と関連させながら分析する接近法を提示した。さらに、問題解決プロセスが言語によりどのように具現されているかを明らかにする枠組みも統合化した。 言語分析の枠組みについては、選択機能言語学(systemic functional linguistics)によって提供されている機能的接近法を適用し、上記の問題解決プロセスを描写する言語資源(語彙文法的選択、意味具現、物語の全体構造)を抽出した。また、各言語資源には談話機能タグの付与を行い、それらをコーパスの中に格納する方法についても枠組みを構築した。次に、従来の語意文法分析(日本語と英語)に使用される汎用的なカテゴリーに加え、物語全体を談話レベルから分析談話分析用の機能的なタグし付けのための理論的な枠組みについても検討を行い、重層的な分析を図るための枠組みを構築した。また、新たなデータ分析の際に1次的なタグ付けを可能にする専用辞書も作成した。 本年度をもって、主幹となる理論的な枠組みの構築はほぼ完了し、データ分析と基本的な情報を体系的の備えたコーパスの整備を最終年度の作業として行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コーパス構築に必要な基幹的な枠組みの中で、特に理論的な枠組みの構築と本研究の研究目的を十分達成可能なものとする分析の射程との適合について時間をかけ検証を行った。その結果、理論的な枠組みの構築と方法論は確立したが、それらを適用し検証に至るまでのデータ分析の時間が不足したことが遅れの原因と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
下記の点を中心に今後研究を進める。 1.全体的な枠組みに基づきコーパスの機能と構成を再確認し、コーパスを完成させる。 2.仮説検証が可能なレベルまでの物語テクストのデータをさらに収集する。 3.分析結果の検証とより効果的な分析結果の検証を可能とするコーパスの分析機能の充実を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
理論的な枠組みと分析方法の検討に多くの時間を費やしたため、平成28年度の作業として計画していたコーパス構築作業と継続的なデータ整備が持ち越された。その結果、予算の多くを占める人件費及び謝金の繰り越しが発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
データ構築及びコーパス構築に必要な人件費を中心とした予算支出を予定している。また、必要な機器及び文献(研究所及びテクストデータとなる物語書籍含む)の補充及びコーパスの完成に向けての検討のための旅費の支出が見込まれる。
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