研究課題/領域番号 |
26370465
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
陳 捷 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (10469182)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 甲骨文字 / 卜辞 / 文字文化 |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、本年度は『殷墟甲骨著録綴合綜表』(假題)の編纂を進め、史官と文書制度の研究に着手した。 昨年度に蓄積したデータを利用し、拓本などと照合しながら整理し、『殷墟甲骨著録綴合綜表』(假題)の編纂を着実に進めてきた。数十万に及ぶ著録番号を扱うため、校正には細心の注意を払っている。この編纂作業と連動し、最近三十年間の著録情報や綴合の成果を含むデータベースを構築し、今後インターネットに公開し提供する予定である。 そしてプロジェクト前半の研究成果を踏まえ、史官や文書制度の研究に取り掛かった。まず既刊の甲骨資料から、史官や文書制度に関する卜辞を全て抽出した。拓本だけでなく、できるだけ甲骨の写真や実物をも観察し、卜辞を解読して正確な釈文を作り上げた。姚孝遂主編『殷墟甲骨刻辭 釋總集』(中華書局、1988年)、胡厚宣主編『甲骨文合集釋文』(中国社会科学出版社、1999年)、曹錦炎・沈建華『甲骨文校釋總集』(上海辞書出版社、2006年)などを参考し、甲骨文字研究の新しい成果を取り入れ、最も適切な釈文を目指した。さらに関連卜辞を詳しく分類し、「史」など史官関係の文字や「冊」など文書関係の文字を年代ごとに検討し、キーワードとしてのそれらの文字の由来や特徴などを探求し、論文作成を始めた。本年度は『殷墟甲骨著録綴合綜表』(假題)の編纂や史官と文書制度の研究に集中し、次年度に論文を発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は『殷墟甲骨著録綴合綜表』(假題)の編纂及び史官と文書制度の研究を中心に順調に進んでいる。研究代表者が鋭意研究に努め、研究環境もさらに整備されてきたため、当初の計画より多くの卜辞を検討できたうえに、次年度に予定していた史官の研究を前倒しして実施し、論文作成に取り掛かった。 このような努力によって研究をより円滑に進めることができ、多くの研究成果が期待される。次年度の研究計画の一部を前倒しして実施することによって、来年度は計画どおりの研究遂行に止まらず、さらに視野を広げ、深く掘り下げ、より充実した論文を作成できよう。以上のことを踏まえて、本年度は当初の計画以上に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度に続き、研究計画に沿って着実に研究を進め、研究目的の達成を目指して鋭意推進してゆく予定である。また、本研究に関連する最新の研究成果を極力把握し、本研究に活用してゆきたい。いずれにせよ、より早くより多くの研究成果を上げるべく、できるだけ沢山の資料を精査しながら、細かく分析して慎重に考証し、深みのある著書や論文を纏めてゆこうと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は一部書籍の納品が遅れたため、当該年度の研究費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も各種の資料集や先行研究の成果を含めて、甲骨学・文字学関係の図書が欠かせないものなので、引き続き購入して次年度の研究計画を推進してゆく。
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