研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者がこれまで行ってきたマンデビ語(Mangdebikha : シナ=チベット語族、チベット=ビルマ語派、ヒマラヤ語支、チベット=キナウリ語群、東チベット諸語、Nyenkha、Henkha、Lap、Mangsdekhaとも称される)と系統関係にあるEast-Bodish諸語の系統関係を解明することにある。 今年度も昨年度に引き続き、現地調査及びそこで得られた一次資料の整理及び公開に力を注いだ。研究代表者は 2016年12月から2017年1月にかけて, ブータン王国トンサ県において当該言語の基礎語彙及び文法調査を行った。本調査では, ブータン王国ワンディポジャン(Wangdue Phodrang)県及びトンサ(Trongsa)県に分布しているオレカ語(’Olekha, ’Olakha, Black Mountain Monpaとも称される)についての音声・音韻・形態を中心に調査をした。当該言語は外国人研究者によりBlack Mountain Monpaと称されてきた。而るに研究代表者の調査により, この言語の母語話者は自身の言語を’Olekha乃至は’Olakha と呼んでいることが確認された。この言語に関しては、世界的にみてもいまだ研究の進んでいないものであるため、一時データを収集できたことは大変貴重な経験であった。この言語はいくつかの方言が存在することが判明したが、特に母音体系の変異、子音の長音部位の差異、語彙のゾンカ語やツァンラ語に置き換え等が進行中であることも確認された。 また、これまでの調査で蓄積されたブムタン諸語の語彙データの入力をほぼ終了し、言語系統の分析の基礎的データが整備された。社会言語学的及び人類言語学的な初歩的調査も行うことが出来た。
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