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2015 年度 実施状況報告書

日本語における使役動詞の獲得過程に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370479
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

山腰 京子  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20349179)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード生産的使役動詞 / 第1言語習得 / 複文構造 / 横断的実験調査 / 真偽値判断法 / 生成文法理論
研究実績の概要

本年度は生産的使役構文の複文構造と他の複文構造(~してもらう、~してほしい、~と思う)との習得時期の差について、4、5、6歳児10人に対し保育園に協力を依頼し、真偽値判断法を用いて調査を行った。生産的使役構文においては使役形態素の「させ」が含まれ、また下の節の主語が「に」格で現れるため、下の節の「自分」の先行詞を下の節の主語に解釈することが子供にとって難しいのではないかと予測し、他の複文構造の習得よりも生産的使役構文の複文構造の習得が遅れるのではないかと予測した。調査の結果は以下のようであった。
まず生産的使役構文において下の節の「自分」の先行詞は、大人の場合、下の節の主語でも上の節の主語でも容認されるが、下の節の主語を容認した割合は4歳児が100%、5歳児が50%、6歳児が0%であった。~もらうの複文構造については、下の節の主語を容認した割合は4歳児が75%、5歳児が50%、6歳児が0%であった。~ほしいの複文構造については、下の節の主語を容認した割合は4歳児が75%、5歳児が100%、6歳児が0%であった。~と思うの複文構造については、下の節の主語を容認した割合は4歳児が100%、5歳児が50%、6歳児が100%であった。これらの結果から、生産的使役の複文構造の習得が他の複文構造の習得と比較して遅れているという点は見受けられなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の語彙的・生産的使役の実験と本年度の生産的使役と複文構造に関する研究の実績を論文にまとめる作業を行っている。2017年度にJohn Benjamin Publishing Companyから発行される予定の論集に掲載される予定で、既に第1稿を提出済みであり、おおむね順調に進展していると考えることができる。

今後の研究の推進方策

上に述べたように、生産的使役構文においては使役形態素の「させ」が含まれ、また下の節の主語が「に」格で現れるため、下の節の「自分」の先行詞を下の節の主語に解釈することが子供にとって難しいのではないかと予測し、他の複文構造の習得よりも生産的使役構文の複文構造の習得が遅れるのではないかと予測したが、今回の調査結果では、複文構造の習得全体がそれほど早くないという結果が出た。今回の調査ではまだ被験者数も多くないため、調査方法を検討しながらさらに調査を行っていく必要があると思われる。

次年度使用額が生じた理由

少額の残りを使い切らなかったため、599円余りが出た。

次年度使用額の使用計画

物品費の一部として使用したいと考えている。

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公開日: 2017-01-06  

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