研究課題/領域番号 |
26370483
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤村 逸子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (50229035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人間名詞 / コーパス / コロケーション / 名詞修飾 / 準接辞 / Log-r |
研究実績の概要 |
名詞と形容詞の比較に関しては次の研究実績を上げた。 フランス語で名詞と形容詞が別の名詞を修飾する場合について検討し、特に人間を表す名詞が興味深いことがわかった(Noailly (1990)参照)。この問題に関して、5月にストラスブール大学にて、名詞+名詞の場合の語順に関して研究発表を行った。日本語に関しても、名詞+名詞の複合語の語順についてBCCWJを用いて検討した。最近、Affixoidとして注目を集めている準接辞の認識が日本語では1990年代より存在することが文献調査により判明した。この観点に基づき、日仏語対照の観点から、「femme+人間名詞」と「女+人間名詞」の語順に関する論文を執筆した。 このうち、フランス語に関する部分を中心に発展させて、フランス語で論文を執筆した。フランス語では名詞の文法的性にまつわる形態法は語構成の上で大きな役割を果たしている。また、フランス語で人間の男女を意味する名詞が他の名詞を修飾する場合に、男女の意味がなくなる場合に関して、9月にパリで行われる研究発表に採択された。 次に、コーパス研究における方法論的な研究実績としては次の3点が挙げられる。 2語の結びつきの強度を測る指標として提案したLog-rとこれまでコロケーションの指標としてよく用いられてきたMIスコア、tスコア、LLR, Dice, Jaccard との比較を、日本語のBCCWJをデータとして行い、国立国語研究所のワークショップで発表した。また、フランス語の前置詞の選択について、決定木による分析法を試み、日本フランス語学発行の論文集に発表した。また、Zipfの法則に基づく語彙分布の問題に関する一般向けの研究発表をストラスブールと東京で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランス語の人間名詞は、名詞的用法と形容詞的用法の両方があるという特殊性がある。すでに1990年にNoaillyがその問題を提起しているが、コーパスに基づく観察により、これを明らかにすることができた。また、コーパス言語学の統計学的方法論に関しても、新しい貢献が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
フランス語に関して、人間名詞が無生物名詞を形容詞のように修飾する場合についての文法上の性の問題について研究を進める。話し言葉コーパスを充実させて利用する。可能であれば、音声データをもとにして、複合語化の分析を行う。最終年度にあたるために、研究成果の発表に努める。パリとナポリの学会で口頭発表を行う他、論文を書いてジャーナルに投稿するようにする。
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