研究課題
今年度は、昨年度に実施した音声知覚実験の結果をまとめ、日本災害情報学会とAcoustical Society of America & Acoustical Society of Japanの共同開催学会で発表した。いずれも論文の形で予稿集とウェブアーカイブに掲載された。また、水害・土砂災害の避難伝達文の言語学的分析を行った。分析の結果、以下のことが明らかになった。1)平均5文、30~34文節で1つの伝達文を構成する。2)準備から勧告・指示へと緊急性が増すにつれて、重文・複文の平均数が多くなり、緊急性と構文の複雑さに相関関係が見られる。津波避難伝達文と比較すると水害・土砂災害避難伝達文の方が言語量が多く、統語的にもより複雑である。3)「避難してください」「警戒してください」など聞き手に期待する避難行動を、ほとんどの場合「てください」という依頼文で表現する場合が多く、「せよ」や「指示する」などの命令文の表現は少ない。4)発信元、受信者、緊急性を示す用語、避難場所、災害の危険性、期待される避難行動などの情報が伝達文に含まれている。さらに、もう1つの音声知覚実験を行った。津波と土砂災害の避難伝達文を長文/短文、命令調/依頼調など数パターン用意し、プロのアナウンサーに発話してもらい、100人程度の被験者に聞かせ、緊急性・信頼性・聞き取りやすさについて印象を調査した。結果については分析中であるが、現時点で、聞き取りやすさや信頼性にさほど違いはないが、短文で命令調が緊急性を高めるということがわかっている。また、「直ちに」「避難しなさい」「緊急放送」などの文言も緊急性を高めるのに効果的であることがわかった。これらの結果も学会、論文で発表していく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
災害情報
巻: 15 ページ: 印刷中
The 5th Joint Meeting Acoustical Society of America and Acoustical Society of Japan, ASA Press Room Archives
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http://acoustics.org/appropriateness-of-acoustic-characteristics-on-perception-of-disaster-warnings-naomi-ogasawara/
日本災害情報学会第18回学会大会予稿集
巻: 18 ページ: 226-227