研究課題/領域番号 |
26370491
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (70323558)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バスク語 / 地域変種 / 世代間変種 / 文法 / 音韻 |
研究実績の概要 |
2014年度から2017年度にかけて,バスク語アスペイティア方言,同セストア方言,同サラウツ方言の親世代と子世代の母語話者の協力のもと,文法と音韻についてデータを収集,分析を行ってきた.具体的には,(1)名詞・形容詞の格語尾の形態、(2)後置詞句の形態、(3)動詞述語の形態・統語・用法(500ほどの動詞の形態とそこに関わる項、共起する助動詞の形態と振舞い、非人称表現・再帰表現・相互表現 における個々の動詞の振舞い)について調査を行った.音韻に関しては,分節音素のほか,おもに名詞(辞書形とすべての格の形),複合名詞(絶対格および辞書形),後置詞のアクセントについて調査した.2018年度は,同上のバスク語の各方言について,補完すべきデータおよびテキストの収集を,8月30日から9月27日にスペイン領バスク自治州ギプスコア県にて実施した現地調査で行った.また,たまたま機会に恵まれ,バスク自治州ギプスコア県の自治体であるアスペイティアとアスコイティアの公立高校2校で,生徒(日本の高二,高三に相当)のバスク語使用状況に関するアンケート調査を実施した.2018年度の成果の一部は,次の形にまとめた: ・口頭発表:『最新のフィールドワークから ~バスク語の普及:その「量」と「質」』(2018年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会「ユーラシア言語研究 最新の報告」2019年3月27日,京都大学羽田記念館) ・論文:「バスク語(アスペイティア方言,サラウツ方言)の名詞のアクセントについて」in『現代スペインの諸言語の音声・音韻的現象に関する対比的研究 平成28年度~30年度科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書』(課題番号16K026535,代表者:福嶌教隆,2019年3月31日) 当初予定していたバスク語スマイア方言および同エレシル方言については,データの収集が未だ不十分な状態である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた5つの方言の文法と音韻の調査を,二つの世代にわたり5年間で行う予定だったが,ひとつの方言に予想以上の時間がかかった.調査協力者探しに手間取ることがあったり,また調査協力者とのアポイントに変更が生じたり,途中で調査項目を追加したことがその原因であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まだじゅうぶんに収集できていないバスク語スマイア方言およびエレシル方言の文法・音韻に関するデータ,テキストを,二つの世代の母語話者から収集し分析することが第一の目標となる.その上で,これまで集積してきた他の諸方言のデータとの比較を行い,地域変種および世代間変種という二つの面から,この地域のバスク語の現状を総合的に記述する.
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次年度使用額が生じた理由 |
調査協力者への謝金が予想よりも低額になった(まったくのボランティア精神から協力してくれる方々があったため).次年度使用額は,新たなフィールドワークに必要な資金の一部として用いる,という考えである.
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