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2014 年度 実施状況報告書

失語症・意味認知症者の文理解・産生の障害メカニズムー意味、文法、音韻処理の役割ー

研究課題

研究課題/領域番号 26370493
研究機関県立広島大学

研究代表者

渡辺 真澄  県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (60285971)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード動詞活用 / 自他対応動詞 / 文産生 / 文理解 / 失語症
研究実績の概要

本研究は、失文法や音韻障害を有する失語症患者と、意味記憶障害を有する意味認知症患者を対象に、文理解・産生における意味、文法、音韻処理の役割を明らかにすることを目的とする。
初年度の平成26年度は、①動詞活用課題、②絵・単語干渉(picture-word interference: PWI)課題および③文完成課題を用い、健常者と脳損傷者の文の理解/産生について検討した。
① 動詞活用課題:若年健常者21人を対象に、仮名で呈示した非過去動詞168語について過去形産生の予備実験を行い、先行研究におおむね一致する結果を得たが、課題、特に刺激の修正点が明らかになり、今後、刺激を選択し直し動詞活用実験を次年度以降に行う。
② 絵・単語干渉課題:若年健常者21人を対象に、30枚の絵の命名を行わせた。絵の呈示時には干渉語を音声で先行、同時、遅延呈示した。絵と干渉語は、意味的に関連する場合、連想関係にある場合、異なる品詞の場合について検討したが、干渉語間の親密度、心像性をマッチさせた。その結果、意味効果、連想効果は見られたが、品詞効果は心像性をマッチさせると消えることを見出した。現在、結果を日本語の論文としてまとめている。
③ 文完成課題:1例の失文法を有する失語症者を対象とし、自他対応動詞(例、閉まる/閉める)および自他対応のない自他動詞を含む文の文完成課題を実施し、自他対応がある動詞のうち非対格自動詞の成績が低下することを見出した。英文誌に投稿する予定にしている。また次年度以降には別の症例にも実施する予定であるが、課題内容についても検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は計画に沿って健常者を対象とした動詞活用実験と絵・単語干渉課題を行ったが、実験にはWindows下で動く心理実験用ソフトE-Prime を用いた。最近、E-Primeは2.0にバージョン・アップされたにもかかわらず、Win8以降には対応しておらず、動作確認ができているOSはWin XPとある。しかしWin XPの動く手持ちのPCはなかったため、動作未確認の部分があるというWin 7マシンを用いてテストを行った。実験プログラムが動作することは割合に簡単に確認できたが、実験室の別のWin 7マシンでは動作しないことが判明し、試行錯誤に時間を費やした。最終的に、手持ちのWin 7マシンごとの確実な動作条件を見出したのは昨年11月近くになってからであり、それから実験を開始したため、計画全体が遅れた。

今後の研究の推進方策

平成26年度に若年健常者を対象に行った動詞の過去形産生の予備実験では、刺激の修正が必要なことが明らかになったため、刺激語を選択し直すなどの修正が完了次第、追加の実験を行う。また、平成26年度に失語症患者に行った自他対応動詞・対応のない動詞を含む文の完成課題の結果を分析し、今後行う実験に向けて、課題の修正を進める。

次年度使用額が生じた理由

上述のように、2種の実験については心理実験用ソフトE-Prime 2.0を用いて行ったが、バージョンアップ版のE-Primeの確実な動作条件を見付けるのに多大な時間を要したため、実験のための時間が限られてしまった。そのため、予定していた実験の規模を縮小せざるを得ず、被験者への謝金使用金額などが予定より少なかった。

次年度使用額の使用計画

来年度も予定していた実験を継続し、被験者、データ処理協力者への謝金に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 失語症者における項目間の意味的関連性を統制した非言語性意味判断課題の成績2014

    • 著者名/発表者名
      津田 哲也、中村 光、吉畑博代、渡辺眞澄、坊岡峰子、藤本憲正
    • 雑誌名

      高次脳機能研究

      巻: 34(4) ページ: 394-400

    • 査読あり

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公開日: 2016-05-27  

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