失語症は、左大脳半球の言語関連部位の損傷で生じ、言語の色々な面に障害が現れる。例えば自分の考えを「文」にすること、ものや絵の「呼称」が困難になる。文の中心は動詞である。そこで動詞活用を検討した。動詞の活用型は語尾で決まり、健康な人では五段か一段か判別できない語尾の動詞活用が困難だった。また動詞には自他対応動詞がある(閉まる/閉める)。失語症では自他対応動詞の理解が苦手で、中でも自動詞が難しかった。音が似ているのと、自動詞文の構造が複雑なことが原因であろう。健康な人には簡単に見える発話も、実は難易があり、失語症ではその難易度が増幅されて現れたと考えている。さらに呼称の促進要因についても検討した。
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