研究課題/領域番号 |
26370494
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
平野 圭子 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (60341286)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多国籍アングロフォンコミュニティ / 言語変化 / 社会的ネットワーク |
研究実績の概要 |
多国籍アングロフォンコミュニティ内における言語変化を調査するため、「義務を表す動詞表現」に続き平成27年度は「所有を表す動詞表現」の分析に着手した。言語コーパス(実時間調査によって得られた英語母語話者の自然談話録音データ)より、「所有を表す動詞表現」の分析対象使用例を抽出し、言語内的要因や被験者の社会的属性・社会的ネットワークをコード化したものとともに、統計ソフトのデータファイルに入力する作業を行った。統計用ソフトSPSSのペアサンプルのT検定、ピアソン相関係数、重回帰分析等の統計手法を用い、①各話者の英語の文法的なバリエーションと起こりつつある言語変化、②国籍別グループの「所有を表す動詞表現」のバリエーションと変化の傾向、③言語変化と社会的ネットワークの関係等を分析した。 前年度分析を行った「義務を表す動詞表現」の研究成果を国内の学会(Language Variation and Change 2015 Forum)とキプロスで開催された国際学会(The 8th Conference of the International Society for Dialectology and Geolinguistics)で発表した。 また海外共同研究者のDavid Britainとの共著でまとめた論文は平成28年度中に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画予定通り、モビリティ向上に伴い世界各地の英語圏から来日する英語母語話者の言語のバリエーションと変化を、「義務を表わす動詞表現」と「所有を表わす動詞表現」の観点から検証し、話者の複雑な人間関係が言語変化に与える影響を社会的ネットワーク観点から分析を行ってきた。またここまでの研究結果は国内外の学会で報告しており、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は「所有を表す動詞表現」の分析を引き続き行い、言語変化と社会的ネットワークの関係、言語変化と言語内的要因との関係等を統計分析により明らかにする。また日本の多国籍アングロフォンコミュニティ内で起きている文法上の言語的バリエーションと変化のメカニズムを解き明かし、より複雑でモビリティ性の高いコミュニティの言語行動に応用できる社会的ネットワークモデルを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力は申請者本人が行い、英文校正は共同研究者が行ったため、予定していた謝金の予算が残金となった。
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次年度使用額の使用計画 |
残金は2016年にスペイン・ムルシアで開催されるThe 21st Sociolinguistics Symposiumに参加するための旅費の一部に充てる。
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