グローバル化の最先端で劇的な社会変化が進行する地域社会において、土着方言の共時的変異・変化に話者の土着アイデンティティーがどのように関与しているのか、社会心理学的方法論を加味した計量的分析と質的洞察を融合しつつ、複眼的観点から因果関係の解明を試みた。研究成果として、土着アイデンティティーは、グローバル化に対するイデオロギー、自己観、土着方言や共通語に対する意識的、及び、潜在的言語態度などの社会心理的要因から複合的に構成される実在であり、アンケート調査で回答される方言使用の自意識と日常語における方言の無意識的使用の揺れとの間に見られる乖離が土着アイデンティティーで説明しうることを立証した。
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