研究課題/領域番号 |
26370498
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研究機関 | 宇都宮共和大学 |
研究代表者 |
高丸 圭一 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60383121)
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研究分担者 |
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50400073)
乙武 北斗 福岡大学, 工学部, 助教 (20580179)
井上 史雄 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40011332)
内田 ゆず 北海学園大学, 工学部, 准教授 (80583575)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地方議会会議録 / 気づかない方言 / テキストマイニング / オノマトペ |
研究実績の概要 |
地方議会会議録に出現するオノマトペ(擬態語・擬音語),気づかない方言を中心に分析を進めた。 乙武がオノマトペ自動抽出プログラムを作成し,高丸・内田を中心に出現の地域差,および,共起語と語義の関係を分析した。オノマトペ語義分類済みの地方議会会議録コーパスから,14語のオノマトペを含む文を抽出し係り先を分析したところ,「オノマトペ―係り先動詞」の組の84.3%は単一語義で使用されていた。また,単一語義で使用された「オノマトペ―係り先動詞」の組を語義未分類の文に適用した結果,正例率は89.7%であった。このことから,係り先動詞は語義を決定するための有効な手がかりであることが明らかになった。この研究結果をファジーシステムシンポジウムにおいて口頭発表した。また,語義の多いオノマトペ「ごろごろ」を含む発言文を係り受け解析し,「ガ格」および「係り先動詞」を抽出し,幾つかのコロケーションが特定の語義に関連することを示した。六地方分類による出現確率の集計により,分析対象オノマトペの出現確率は西日本で高いことを指摘した。この研究結果を日本語学会秋季大会ワークショップにおいて口頭発表した。オノマトペ研究に関するウェブサイトを構築し,本研究成果の一部を公開した。 気づかない方言については井上を中心として分析を進めた。いくつかの特徴的な研究結果を雑誌記事において公開した。このうち,二人称代名詞の使用の地域差についての研究結果を学術論文にまとめた。 このほか,本研究の成果の一部である地方議会会議録における整文の特徴を学術論文に分担執筆した。さらに,今後の分析において,同一年度の全国横断的なテキストマイニング分析を行うため,高丸・木村・乙武を中心として,地方議会会議録の追加収集作業を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画のうち,「研究計画(3)自治体ごとのテキストマイニング分析」については,平成26年度に引き続き,単語頻度に基づく分析をすすめ,分析結果をウェブサイトに公開した。また,研究計画(3)に新たに追加したオノマトペの使用実態についての分析では,語義とコロケーションに着目した新規性の高い研究成果を挙げ,口頭発表を行った。「研究計画(4)地域差の抽出と分類」については,平成26年度の本研究課題の成果として構築した,GISを使った方言語彙分布可視化システムを用いた分析が進み,その成果を学術論文にまとめた。「研究計画(5)自治体横断分析」については,政治学・経済学の専門家の助言により,比較分析を行う会議録の年度を統制することとした。このため,本年度は会議録データの追加収集を実施した。その上で本格的な分析は平成28年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続き「研究計画(4)地域差の抽出と分類」および,「研究計画(5)自治体横断分析」を進める。その上で,本研究課題の最終年度となる平成28年度には,学際的応用へ向けた研究結果の集約を行う。 年度末には,日本語学・情報工学・政治学・経済学の専門家を対象とした成果報告・意見交換会を開く予定である。また,ウェブやパネル展示などにより,当該分野に関心を持つ市民に向けた研究成果の公開をすすめる予定である。
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