研究課題/領域番号 |
26370500
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
大矢 政徳 目白大学, 外国語学部, 准教授 (60318748)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 依存文法 / グラフ中心性 / 日英対訳コーパス / 統語的不一致 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、既存の日英語対訳コーパス中の日本語文および英訳文の構文解析は順調に進んでおり、いくつかの学会および論文集でその解析結果に基づいた分析結果について発表した。以下、個々の業績についてその概要を述べる。 (1) "Japanese One-Word Sentences and their English Translations in a Parallel Corpus" 目白大学人文学研究 (11) 237-248 2015年3月 本研究では、日本語の一語文とその英訳文との対応パターンを依存木間の統語的不一致(Syntactic mismatch)に基づいて分類した。 (2) "Centrality Measures of Sentences in an English-Japanese Parallel Corpus" PACLING 2015 2015年5月20日 この発表では、日英対訳コーパス中の日本語文と英訳文の依存木の中心性に注目し、日本語はより浅い依存木構造を持っていることを示唆した。 (3) "The Possibility of Building a Dependency-based Japanese-English Construction Dictionary" Asialex 2015 2015年6月25日 日英語パラレルコーパス中の対訳ペアに関する筆者のこれまでの研究に基づき、日本語の様々な構文(例:「~となっている」)が英語に訳される場合のパターンをしめす辞書を構築する可能性について論じた。 (4) 「日英語パラレルコーパス中の対訳文間における格助詞「が」を伴う名詞句の依存関係の構造的不一致」英語コーパス学会 2015年10月4日 日英語パラレルコーパス中の日本語文で格助詞「が」が使われている単文を抽出し、格助詞「が」を伴う要素が英語対訳文のどのような要素に対応しているかに注目し、その対応パターンを統語的不一致に基づいて分類し提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、日本語文とその英語対訳文との構造的類似性については研究が進んでいる。特に、統語的不一致(Syntactic mismatch)の概念を導入することによって、日本語文の依存木構造とその英訳文の依存木構造の不一致をより明示的に説明・分類することが可能になった。しかしながら、その結果得られた知見の英語教育への応用に関しては未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度着手できなかった日本人英語学習者が作成した英文の構造特徴量算出を進めていく。さらに、統語的不一致の概念に基づく日本語とその英訳文との構造的差異パターンの抽出、さらには各パターンの頻度および構造特徴量算出も進めていく。
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