本研究では、同じ種類の修飾句が繰り返し埋め込まれた構造、すなわち再帰構造( [[机の]お皿の]みかん)を生み出す能力が生得的かどうかを検討するために、関係節・場所句・所有句を複数含む文の理解実験を3~5歳の日本語児を対象に行った。その結果、個人差はあるものの、再帰構造を付与する能力は3歳頃から見られるという、再帰構造を生み出す能力の生得性を示唆しうる結果が得られた。一方で、再帰構造が付与可能となる前段階として、並列構造([机の][お皿の]みかん)への嗜好性が強い段階があること、また、言語及び構文固有の性質が並列及び再帰構造の発現に影響を与えることを示す結果も得られた。
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