研究実績の概要 |
本研究では、話し言葉における外国語学習者のレキシコンの特性が、音声産出や知覚にどのような影響を及ぼすのかに焦点を当て、知覚・産出実験、文献調査、および音声コーパスの調査によって、その実態とメカニズムを多角的な方法を用いて明らかにするものである。研究初年度は,以下の課題に取り組んだ。
(1)外国語学習者のレキシコンの特性(米山,Munson):母語においてレキシコンの特性として音声語彙認識に影響を及ぼしていると考えられている語彙近傍密度について、異なる英語力を持つ日本語母語話者を対象に実験を行った。その成果を論文として執筆中である。更に、語彙近傍密度については日本人大学生の産出実験の予備実験を行った。日本人大学生の語頭の/r/と/l/の英単語の音素認識については、米山・中村(2015)で発表した。 (2)レキシコンの特性と音声・音韻論的な検討(北原,米山):日本語と英語の音声データベースやコーパスを分析することにより、レキシコンの語彙音響特性について詳しく明らかにすることを試みた。その成果はKitahara, Tajima and Yoneyama (2014)、Tajima, Kitahara, and Yoneyama (2015a, 2015b)やTajima, Kitahara, and Yoneyama (2016)の基礎データとして活用された。 (3)レキシコンにおける語彙表示について(田嶋,米山):異なる英語力を持つ日本語話者の英語のレキシコンにおける語彙表示を明らかにするために、英語の音節数を数える実験を異なる英語力を持つ英語学習者(日本人大学生と現役英語教員)を対象とした実験を実施し、Yoneyama and Tajima (2016)で報告した。
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