研究課題/領域番号 |
26370510
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
新井 洋一 中央大学, 経済学部, 教授 (10151143)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口語英語 / 罵倒語・罵り語 / 品詞転換 / 意味変化 / 通時的・共時的 / 英語コーパス / 蔑称 / 強意語 |
研究実績の概要 |
2018年度は、取り扱うべき主要な英語の罵倒語は何であるべきかについて、通時的および共時的に考察した。その結果、damn, fucking, bloodyの3つの罵倒語が、特に重要な罵倒語であることを突き止め、通時的および共時的な言語特徴について、(1)「強意語的機能を持つ罵倒語の進化特性について」(第44回英語コーパス学会大会: 2018/10/08)という口頭発表をおこなうとともに、(2)ほぼ同タイトルの論文(論文は印刷中で、2019年9月末発行予定)にまとめた。 まず、これらの罵倒語が,bloody > damn > fuckingの順序で,ほぼ100年間隔で発達を遂げていることを確認した。共通の機能的進化として,adj. (attributive: pre-noun) => adj. (intensifier: pre-noun) =>adv. (intensifier: pre-adjective) => adv. (intensifier: pre-verb),という機能転換 (functional shift) の一つである品詞転換 (conversion)が起きていることを明らかにした。 後半では,新井 (2011) に倣って,「快性」素性[±PLEASANT] (略して[±P]) を導入し,罵倒語が快素性[+P] を持つ語との共起が,かなり進んでいることを明らかにした。そして約30年の間隔があるBNCとNOW corpusの2つの大規模コーパスから,特に快素性[+P]を持つ共起語の広がり度を調査してまとめ,最近は特に,「damnと共起する[+P]形容詞の種類が格段に増えていること」を明らかにした。今後は、この研究を基に、これらと類似の罵倒語を含めて、テレビドラマのスクリプトコーパスを基にした言語的特徴の研究と、さらなる包括的な考察を進めて行くことにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように、研究の具体的テーマが絞り込め、それに関する口頭発表と論文を一本仕上げることができ、本格的なまとめの足掛かりはつかめたことになる。 一方、コーパスの構築については、昨年度まで、準備に手間どっていたが、2019年になり、米国のMake Davies教授によるThe TV Corpus (https://corpus.byu.edu/tv/)が公開された。年代幅やデータ量の面で、私の進めている研究課題を凌ぐコーパスが誕生したことになる。このコーパスを使えば、研究は一気に進めることができるものの、Davies教授のコーパスが、私が進めてきたコーパスリストを全部含めているのか、漏れはないのか、また、コーパス利用の上で問題点はないかの検証も同時にする必要がある。 私の研究が、米国人教授の最新成果を無視した研究にならないよう、当初の計画にこの新コーパスの研究も追加し、徹底的に比較研究し、より包括的で精緻な研究にまとめたい。
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今後の研究の推進方策 |
すでに、3種類の罵倒語を具体的テーマとして論文にまとめたが、この延長の最終年度では、この論文をさらに網羅的にかつ精緻に発展させることにしたい。Davies教授のThe TV Corpusと、私が準備してきたテレビスクリプトコーパスを比較研究し、相補的に利用しながら、最終的な論文に仕上げていきたい。 具体的には、私のスクリプトリストとDavies教授のコーパスを比較し、Davies教授のコーパスに欠落しているスクリプトの追加をおこなう。また、罵倒語以外に、特に、感嘆詞、俗語イディオム、そして蔑称に関する研究を、追加の具体的テーマとして加えることにしたい。結果として、口語表現の中でも、感嘆詞、罵倒語、俗語イディオム、蔑称を、最終的な論文の具体的テーマとしてまとめることになろう。 また、比較の意味で、映画からのスクリプトコーパスも逐次参照しながら、総合的かつ緻密な英語口語表現の研究成果としてまとめることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、テレビスクリプトの選定作業に時間をとられ、コーパス構築の準備が整わず、業者の見積もりや業者への依頼ができなかったため、未使用額が生じてしまいました。
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