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2015 年度 実施状況報告書

シベリア少数言語コーパス構築に向けた理論的・実践的ドキュメンテーション研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370512
研究機関鶴見大学

研究代表者

大矢 一志  鶴見大学, 文学部, 教授 (80386911)

研究分担者 小野 智香子  千葉大学, 人文社会科学研究科, 特任研究員 (50466728)
長崎 郁  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語対照研究系, プロジェクトPDフェロー (70401445)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード言語ドキュメンテーション
研究実績の概要

3年計画の2年目であるH27年度では,(a)データ変換システムの試作,(b)データ作成から公開までのプロセスの検証,(c)音声データと記号データの関連性の研究,(d)データ収集のためのフィールド調査,(e)国際動向の調査が,研究計画上の活動として挙げられているが,1年目の成果を元に,(a)(b)(c)では活動内容に修正が生じた.但し,事業そのものは概ね順調に進んでいる.

(a)(b)1年目のH26年度に音声データの書式として発案したGISTを国際会議で発表,同時に実証ソフトも作成し,計画よりも早い段階で評価を得ることができたことから,計画にあった実証システム上での運用からデータフォーマットを策定する手順は,必ずしも採る必要はなくなり,むしろGISTを含めた総合的なデータフォーマットの策定がより重要になった.よってこれを優先し,最終目標である仕様書につなげることにした.結果として,H27年度ではこのフォーマットを策定し,LREC2016に提案,採択され,H28年度に発表する機会を得た.
(c)H26年度に策定したGISTを前提とした,関連性を保持する手法を,フォーマットの面からH27年度も引き続き検討した.
(d)分担者である2名の言語学者がH27年度にそれぞれフィールド調査を実施する計画であったが,フィールド調査からのフィードバックは,常に新鮮である方が望ましいことから,各年度に1回のフィールド調査を実施することにした.H27年度にはカムチャッカ地方でフィールド調査を実施した.
(e)WWW2015, DHRA2015, DLF2015に参加し,国際動向を調査することができた(科研費以外での研究費によるものも含む).とりわけ,WWW2015とDLF2015では,国際アーカイブの位置づけが大きく変わることを確認することができ,本研究にとっては重要な調査となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データフォーマットとして,一昨年度に策定・発表したGISTに加え,記述言語学者にとって将来のデータ変換で必要となるデータフォーマットを考慮することなくデータ入力が可能となる手法を策定した.これは,モデル共有の手法により,データの可換性を保証しながらも,データフォーマットの書式を簡潔な「記述のルール」として規定したもので,言語学者にとっては極めて修得や利用が容易なものとなっている.この成果を国際会議LREC2016に提案し,採択された(発表はH28年度).
フィールドワークは,ロシア連邦カムチャッカ地方で実施することができた.またフィールドワークからのフィードバックも,分担者の他,計3名の言語学者から得ることができた.
国際動向については,WWW2015とDLF2015で,ネット上にあるアーカイブの役割が急速に変化していることに関する知見を得ることができ,これは言語ドキュメンテーションのデータ作成プロセスを立案する本研究にとっては,重要な機会となった.

今後の研究の推進方策

研究計画書では,実証システムを運用しながら次期システム向けの仕様書の策定を目標としていたが,運用実績を示す前に,提案するフォーマットの一部が国際会議で評価されたことから,実証システムを作成する優先度は低くなった.そこで,フォーマット策定を優先させ,H28年度中に予定されているLRECでの発表の結果を反映しながら,本研究計画の最終目的である,言語ドキュメンテーション向けシステムの仕様書を策定してゆく.
また同時に,基礎研究として取り組んでいた,音声・記号データの関連性についての理論研究についても,計画上は完遂は目標とはしていないものの,GISTが評価されたこともあり,できるだけ進めてゆく.
フィールド調査からのフィードバックを各年度で得られるよう計画を修正したことにより,H28年度もフィールド調査を実施する.これにより,本年度も引き続きデータ入力の現場が抱える課題のフィードバックも取り込み,言語ドキュメンテーション全般の課題の抽出に取り組む.
また,最終年でもあることから,本研究独自の成果であるフォーマット策定への取り組み加えて,これまで得てきた海外の動向や研究成果を元に,言語ドキュメンテーションの本質的な課題の洗い出しも試みる.

次年度使用額が生じた理由

フィールド調査を分散して実施するという計画の修正から,分担者である長崎のシベリアでの調査をH28年度に実施することにし,それに備えるためH27年度に計上したフィールド調査の旅費を使用しなかった.

次年度使用額の使用計画

分担者である長崎は,H28年度にフィールド調査を実施する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] コリマ・ユカギール語の非定形節における能格性2016

    • 著者名/発表者名
      長崎郁
    • 雑誌名

      北方言語研究

      巻: 6 ページ: 25-42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Labile verbs and their argument structure alternations in Itelmen2016

    • 著者名/発表者名
      Chikako Ono
    • 雑誌名

      Acta Linguistica Petropolitana

      巻: 13 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Corpus Sharing Strategy for Descriptive Linguistics2015

    • 著者名/発表者名
      Kazushi Ohya
    • 雑誌名

      Journal of Japan Association of Digital Humanities

      巻: 1 ページ: 68-85

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] The Structural Properties of Kolyma Yukaghir's Kakarimusubi-like Construction2015

    • 著者名/発表者名
      Iku Nagasaki
    • 学会等名
      International Workshop Kakarimusubi from a Comparative Perspective
    • 発表場所
      国立国語研究所(東京都立川市)
    • 年月日
      2015-09-05 – 2015-09-06
    • 国際学会
  • [学会発表] Ergativity in Kolyma Yukaghir Nominalizations2015

    • 著者名/発表者名
      Iku Nagasaki
    • 学会等名
      International Conference Northeast Asia and the North Pacific As Linguistic Area
    • 発表場所
      北海道大学(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-08-20 – 2015-08-21
    • 国際学会
  • [図書] シベリア先住民の食卓2016

    • 著者名/発表者名
      永山ゆかり,長崎郁(編者)
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      東海大学出版部
  • [図書] シベリア先住民の食卓2016

    • 著者名/発表者名
      小野智香子(執筆者),江畑冬生,風間伸次郎,鍛治広真,丹菊逸治,長崎郁,永山ゆかり,藤代節
    • 総ページ数
      220(10-16, 82-86, 140-145)
    • 出版者
      東海大学出版部
  • [図書] 明解言語学辞典2015

    • 著者名/発表者名
      長崎郁(執筆者),他.
    • 総ページ数
      258(41,71,164-165,225)
    • 出版者
      三省堂

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公開日: 2017-01-06  

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