本研究は、近代西洋人による官話課本と官話訳聖書等の記述に基づき、彼らが外国語として学習した官話像を考察したものである。近代西洋人の官話の認識については、当時の英仏を中心に、代表的な課本に記述された定義の変化を概観した。個別の官話研究については、メドハースト、エドキンズ、ロプシャイド等の記述を考察し、彼らが北方、南方、その他の官話の相違点に関する認識を継承・発展させた過程を指摘した。また、メドハーストの官話訳聖書と官話課本が19世紀半ばの官話の特徴を考察する際に有用であることを指摘した。さらに、主に西洋料理のレシピや問答書の本文を資料として、近代西洋人が記述した官話文の特徴についても考察した。
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