研究課題/領域番号 |
26370520
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
田中 幹大 甲南女子大学, 文学部, 講師 (10555072)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心理言語学 / 文産出 / 換喩 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、換喩表現の文産出過程を心理言語学の手法によって比較検証し、換喩表現の産出の背後にある要因を明らかにすることが目的である。特に、今回は換喩表現と非換喩表現を両方とも同時に理解して産出することができる一段階のメカニズムと、換喩・非換喩表現のどちらかを先に理解し、別の表現の解釈も進めて文を理解し、産出する二段階のメカニズムの2つの仮説(ならびにそれらに相当する言語産出に関する仮説)を比較検証する。
平成26年度は、先行研究の再調査を行いながら仮説の決定し、換喩表現と非換喩表現を含む刺激文の作成を行った。その後作成した日本語の刺激が正しく換喩表現(もしくはと非換喩表現)として判断されるかどうかを、アンケート調査を通じて調査した。そこで得たそのデータを元に、心理実験用のプログラムを組み、動作確認を兼ねた予備実験を行った。その後実験プログラム等の調整を行い、文再生課題を用いた本実験を実施している最中である。
実験実施のほかには、積極的に学会に参加した。海外の学会(Workshop in Language production, Geneva, Swizterland) に参加し、文産出の研究方法や理論を学ぶと共に、海外の研究者との活発な意見交換を行った。さらには国内の学術誌(認知科学)にも査読論文を提出し、採決された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年の研究計画に従い、日本語の換喩表現を含めた刺激文の作成、換喩表現の正確性を問うアンケート調査の実施を行い、さらには心理実験用のプログラムを完成させ、予備実験を実施後、本実験を実施している。当初の研究計画予定であった、英語での換喩表現の作成や行動実験の実施は行えていないが、国内で本実験を実施しながらも英語での刺激文を作成し、その結果を用いて海外での実験を行うことができると確信している。さらには、研究計画の予定通りに学会にも積極的に参加し、研究結果を発表しつつ、多くの研究者からの意見を取り入れることで、本研究プロジェクトを更によいものにするアイデアを取り入れることもできている。よって、研究は当初の計画と比べても、おおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の今後の推進方策は大きく分けて3つあり、(1)本実験1の実施、(2)本実験2の準備と実施、(3)研究結果報告のための学会参加である。
(1)まず既に国内で実施されている、日本語の換喩表現を対象とした本実験1を確実に終了させ、その実験データを解析し、論文執筆や学会発表といった成果発表を行うことである。実施終了後も、追加実験が必要な場合には、必要に応じて実験期間を延長して行う。 (2)また、この本実験1を継続しつつ、英語の換喩表現を対象とした本実験2を実施する予定である。本実験2に関しては、実験準備が完了次第、文産出の最先端の研究を行っている大学(エディンバラ大学を予定)を訪問し、英語で実験が実施できるように手配する予定である。 (3)その他には、海外の研究者と交流ができる学会に積極的に参加し、研究内容の討議を行う。そこで得た議論などを元に、最終年度に研究結果の総括として国内外の学会で成果発表を行うことができるように準備にかかる予定である。
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