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2016 年度 実施状況報告書

多言語環境にある外国人の日本語観と言語選択に関する研究-在日パキスタン人を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 26370522
研究機関大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所

研究代表者

福永 由佳  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 研究員 (40311146)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード在日外国人 / 多言語使用 / 日本語使用 / 場面・状況別言語使用 / 言語選択要因
研究実績の概要

【本調査(質問紙調査、インタビュー調査、参与観察)の実施】
本年度は昨年度の予備調査の分析を踏まえ、本調査(質問紙調査、インタビュー調査)によるデータ収集を行った。本調査のうち、多言語版質問紙を用いた質問紙調査については、日本国内のパキスタン人コミュニティの事情に通じ、日本語・ウルドゥー語・英語に堪能な研究協力者の協力を得て、関東圏を中心に、パキスタン人およびその家族(日本人配偶者(女性)、子弟)を対象に実施した。質問紙調査への協力者(回答者)総数は133人である。質問紙調査のデータ収集が終了後、データ入力およびデータクリーニングに着手した。また、質問紙調査と並行して、質問紙をもとにした半構造化インタビュー調査を実施した。属性のバランスに配慮し、16人のパキスタン人および日本人配偶者(女性)から協力を得た。インタビューでは、調査協力者の日本語能力に応じて日本語ないしは英語を用い、必要に応じて複数回実施した。インタビュー時間はひとりあたり約2時間程度である。録音したインタビューは文字起こしを行い、発話内容を理解するために必要な文化社会的情報(パキスタンの言語事情や教育制度など)を付加した形式でデータを整備した。本研究は定量的データと定性的データを組み合わた混合法でデザインしているため、質問紙調査で得られた定量的データと半構造化インタビューで得られた定性的データの両面から分析・考察を行う。さらに、パキスタン人と日本人合同の地域社会活動を参与観察し、パキスタン人の自然談話(多言語)を録画・録音した。それに加えて、日本人とパキスタン人間のコミュニケーションに関して、パキスタン人および日本人双方にインタビューを行った。

【成果の公表】
査読誌への論文執筆、学会等での口頭発表を行い、本研究課題で得られた研究成果の公表に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①質問紙調査に協力を依頼していた研究協力者が家庭の事情等により帰国し、調査が予定通り実施できなかったことが複数回生じた。
②質問紙調査の調査協力者(回答者)を募集する際に、研究の目的や概要を説明し、研究同意を得るために、想定以上の時間と労力を要した。
③統計検定に必要な数の調査協力者を確保することに想定以上に時間と労力を要した。
④質問紙調査で収集したデータの入力は当初計画では外部業者に委託する予定であったが、データクリーニングを丹念に行う必要性が生じたため、研究代表者が単独で入力した結果、想定以上の時間を要した。

今後の研究の推進方策

質問紙調査で収集した定量的データを重回帰分析などの統計的手法を用いて、より精密に分析を行う。さらに、アイデンティティや移動などの個人要因や社会文化的要因と言語使用・言語能力の関係性について、定量的データをより多角的に分析する。定量的データを単独で使用するのではなく、インタビュー調査で得た定性的データを組み合わせることで、研究課題を重層的に考察する。

本研究で得られた研究成果の公表を柱とした、多言語使用に関するシンポジウムを次年度中に日本国内で開催する。このシンポジウムには本研究課題に関連する研究に取り組んでいる国内外の研究者が参加し、本研究課題の今後の推進と発展のための議論を行い、そのために不可欠な研究者ネットワークの構築を行う。

次年度使用額が生じた理由

本調査(質問紙調査、インタビュー調査、参与観察)に関わる研究研究協力者および調査協力者の確保と調査地・調査日時の調整に時間を要した(主として宗教的・社会文化的事由)。そのため、本年度は本調査の実施による各種データの収集、データ入力、データクリーニングを集中的に行った。したがって、当初本年度に計画していたデータの統計的分析と成果公表のためのシンポジウムは次年度に行うこととし、そのために計上していた諸経費は次年度使用額として繰越すこととした。、

次年度使用額の使用計画

次年度はデータの統計的分析と成果の公表(シンポジウムを含む)を行うための使用計画を策定する。前者のデータの統計的分析のための経費として、統計的分析を専門とする研究者からの専門的助言を得るための謝金、データ分析用のソフトウエアの購入費用、データ分析に使用するPCのノートパソコンの購入費用を計上する。後者の成果公表に関する経費として、シンポジウム開催に必要な諸経費(国内外の研究者を招聘するための旅費・講演謝金、会場費、通訳謝金等)および学会等での発表・論文作成に必要な経費(国内外の学会等への旅費、投稿費用、英文校閲費等)を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 日本語教育における複数言語使用の研究の意義と展望2017

    • 著者名/発表者名
      福永由佳
    • 雑誌名

      早稲田日本語教育学

      巻: 22 ページ: 61-80

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] “パキスタンストリート”の言語景観―自律,排除,そして共存―2016

    • 著者名/発表者名
      福永由佳
    • 雑誌名

      『ことばと社会』

      巻: 18 ページ: 143-151

    • 査読あり
  • [学会発表] 多言語使用者の言語管理―「母語」を中心に―2016

    • 著者名/発表者名
      福永由佳
    • 学会等名
      言語管理研究会
    • 発表場所
      青山学院大学
    • 年月日
      2016-12-17

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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