研究課題/領域番号 |
26370523
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
橋本 邦彦 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (80156281)
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研究分担者 |
三村 竜之 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (00647662)
塩谷 亨 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (10281867)
島田 武 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (90322875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 魚名 / 比較方言学 / 使用状況 / 渡島半島 / 類似性 / 相違性 |
研究実績の概要 |
渡島半島西岸部せたな町と東岸部旧椴法華村(現在函館市)の漁業方言語彙を調査する中で、調査協力者の元漁師及び現役漁師から、かなりの数の魚名に関する方言語彙を採集することができた。魚名方言語彙は地域により呼び名が変わるだけではなく、同じ呼び名でも指示対象に異同のあることが、しばしば確認される。また、換金性のあまり高くない、それゆえ、地元でほとんどが消費される魚の呼び名については、これまで体系的に調査されて来なかった。今回の調査を通して、56に及ぶ魚名方言語彙が両沿岸地域で収集され、その中には従来の調査研究で触れられることのない語彙も散見された。そこで、和学名を参照しつつ、指示対象、成長段階における名称、消費の仕方等について詳細な記述を行うと同時に語彙の使用および未使用、共通性・類似性・相違性の事実を明らかにして、両地域における語彙の比較に基づく分析と考察を実施した。 最終年度にあたるので、この3年間5回にわたる実地調査の成果を、両地域の使用状況や意味・用法等の一致や異同のわかる形に比較語彙表をアイウエオ順に作成した。語彙は渡島半島の両地域で確認のとれたものに限定し、全部で147語を扱った。語彙のジャンルは、漁、漁具、生態、魚加工、魚名、魚体部位、伝統行事である。この漁業関連方言語彙の比較対照表を通して、同じ半島の沿岸に位置していながらも、西岸部と東岸部では興味深い特有性のある事実が存在することがわかり、その背後に働く3つの要因、つまり生態的、社会的、言語的に条件づけられた要因が相互に関連し合って方言語彙を生み出すことが解明された。
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