研究課題/領域番号 |
26370531
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高山 知明 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (20253247)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音素配列 / 音配列 / 清濁 / 連濁 / 濁音 / 半濁音 / 助詞 / 助動詞 |
研究実績の概要 |
濁音始まりの形式の発生は、日本語の歴史を通じて非常に長く持続的に起こっていることがわかる。その発生のもっとも古いものは、文献が明らかにしうる時代をさらに遡る。その一方、比較的近年に発生したものまである。このように、本研究で取り上げた対象は、歴史的持続性を特徴とする言語現象であるということができる。 一般的にいって、言語の変化に関する研究は、たとえば、11世紀とか16世紀などといった特定の時期に発生した現象を取り上げるものが多い。さらにいえば、上述のような持続的に起こる一連の出来事を一つの現象として包括的に取り扱うことすらあまり一般的ではない。これに対して、本研究は、むしろ積極的に一つの現象としてとらえることを提案している。 なぜならば、個別言語がたどる歴史(あるいは、その変遷過程)を明らかにするためには、時代ごとの諸変化を時間軸に沿って順々に取り上げ、見ていくだけではなく、継続的に発生する出来事にも十分に目を配る必要があると考えるからである。歴史を通じて、変わる点と変わらない点とを具体的に見極めなければ、言語の変化の真のあり方を精確にとらえることはできない。 濁音始まりの形式が持続的に発生する背景には、日本語が持つ音配列の安定性があると考えられる。しかし、漢語の移入に伴って語頭濁音は増えている。その点では、音配列は必ずしも安定的であるとはいえない。しかしながら、依然として、濁音始まりの形式の発生が持続的に起こってきた。これが何を意味するのか、音配列の安定性と不安定性の両側面との関わりをさらに考える必要がある。 なお、濁音始まりの形式は、連濁形もその中に含めることができるが、本研究では、連濁が関わる複合語の生成に限定せず、考察範囲を拡張させたものである。それら全体を歴史的考察の射程の中に入れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
補助事業の期間延長を申し出て、その承認を受け、成果の取りまとめを引き続き進めている。ただし、論文などの研究成果の公表(論文発表など)は予定通り行っており、その点では順調に進展してきている。 総合的に判断すると「やや遅れている」と評価される。
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今後の研究の推進方策 |
(1)汎用性をより考慮したデータ作成に注力し、その公表の準備を早急に進める。 (2)音配列は、一般に音韻変化によっても大きく内容を変えることが考えられるし、借用語の流入によって変わることも考えられる。現に、日本語も例外ではなく、たとえば、上代語では稀であった母音の連続は、その後の音韻変化によってそれほどめずらしくなくなっている。また、漢語の移入に伴って変わってもいる。その点では、音配列は必ずしも安定的であるとはいえない。本研究が問題にする、語頭濁音についても、漢語の移入によって少なからずそれが現れるようになったと考えられる。しかしながら、依然として、濁音始まりの形式の発生が持続的に起こってきた。これが何を意味するのか、音配列の安定性と不安定性の両側面との関わりをさらに考える必要がある。両方とも日本語の歴史のあり方を大きく左右しているはずである。 (3)促音、半濁音に関する類似の現象(たとえば「っぽい」「って」といった語の発生)もたいへん興味深い。これらは濁音始まりの形式の発生とよく似ている。どうして日本語では、このような類似の現象が濁音以外にも次々に発生してくるのか、類型論的視点をも取り入れつつ、さらにこの点を明らかにしていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究代表者は、部局の教授職に係る職務に加え、学長補佐を命じられており、大学執行部の一員としての職責を担っている。その業務がとくに27年度後半から最終年度の28年度に掛けて多忙を極めるようになった。また、予測不能な事態として、高齢の両親の状態が思わしくなくなり、さらに入院等の事態が発生し、介護により多くの時間を要するようになった。 これらの事情から、最終年度の成果の取りまとめに必要な時間が十分に確保できなくなり、使用計画を一部次年度に持ち越すこととし、補助事業期間の延長申請をおこなったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
成果の取りまとめに必要な資料となる論文(複写に要する費用)、図書の収集をおこなうとともに、資料収集のための出張をおこなう。
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