研究実績の概要 |
前回の科研費基盤(C)(課題番号23520549)において収集した岐阜県内で過去に記述された方言の語彙・文法項目に加え、本科研費基盤(C)においては、愛知県内で発刊された郡市町村史を中心に資料を収集しOCRでテキスト化した上で整理した。総項目数は、44,753項目である。 本研究の中心は、あくまで岐阜県方言の実態を知ることである。そのため、成果としては、前回科研費にて刊行した『岐阜県方言辞典』(全5冊)を補訂することでよりよい形で岐阜県内外に成果を公表することを第一とし、続いて、愛知県内の分布を地図にして、岐阜県と愛知県を連続させた地図帳を刊行することを目標に置いて作業をしてきた。結果、520pp.に及ぶ『改訂増補統一版 岐阜県方言辞典』、ならびに、808枚の方言地図を含む辞典付録の地図帳(240pp.)を成果として刊行できた。 他の全国調査・研究との連携においても、今回の科研の成果は活かされた。やみくもに調査で現地に足を運んでも十分な成果が得られないこともあるが、今回は、岐阜県・愛知県両方の基礎的データをもって、調査に望むことができた。基盤研究(A)「日本語の時空間変異対照研究のための『全国方言文法辞典』の作成と方法論の構築」では、愛知県新城市作手において、文法項目の記述をよりよくおこなうことができ、また、国立国語研究所共同研究プロジェクト「方言の形成過程解明のための全国表現調査」については、岐阜県内での調査において予備知識を十分にもって臨むことができた。 このように、本科研費によってもたらされた成果は、十分に成果が上がるものとなったが、一点、できなかったことがある。福井県データについては、一部を収集しデータ化したことまでとなり、地図化するなどは今後の課題として積み残した。今後はこの点を補っていきたい。
|