研究実績の概要 |
平成29年度科学研究費補助金による研究は、「訓点語彙の意味論的研究-文脈付き訓点語彙コーパスの作成-」の研究課題の下に、漢文訓読語・訓点資料のコーパス作成のための基礎資料の整備とその基礎資料整備に関する論考をものす活動を行った。 本年度は、平成29年4月よりの六ヶ月間、研究代表者である松本光隆が、広島大学よりの行政処分・懲戒休職6月に服したため、平成29年度分の科学研究費の直接経費700,000円の使用についての制限を受けた。科学研究費の使用による研究は、平成29年10月1日から許されることとなった。遺憾ながら研究の活動を、平成29年10月1日からとせざるを得なかったが、研究協力者の助力を得て、平成30年3月には、著書二冊、論文二篇の成果を公表することができた。 科学研究費補助金による最終年度の研究では、訓点語彙コーパスが一朝一夕には作成できないことが明確になり、今後の研究展開に委ねなければならないことが明らかとなった。訓点語彙コーパス作成の困難は、訓読文本文を用意して、その本文に対してコンピュータによる自動化された形態素解析を行い、タグとして必要な語の情報を埋め込もうとする場合、現行の一般的な訓点資料の訓読文を元にすると、形態素解析のための辞書が膨大なものになり、プログラムも非常に複雑なものになることが明らかになった。即ち、訓点資料中に現れる総ての語についての語彙コーパス作成のための本文の必要条件は、なるべく単純な書式の、しかも、総ルビの訓読文を用意する必要があって、この本文となる訓読文の作成のための方法論を着手最初の段階から見出すのが必須であると判明した。 ただし、本研究を通じて明らかにした所では、訓点資料の総ての語を対象にせず、タグの埋め込みを手作業でやれば、全語ではないが仮名加点の要語のコーパスは、公表にしてきた資料によって可能であることが明確となった。
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