「到着する寸前」や「結婚寸前」といった「-寸前」という表現を例として、ある種の複合語または句について研究した。これは一種のアスペクト(時間的)表現である。これは、「用言」と異なり、一見、活用しない「体言」のようである。日本語のアスペクト表現は、「-ている」のように、従来活用語(特に動詞型)だと思われてきた。しかし、活用しない体言型のアスペクト表現も、現代日本語には多数存在する。これら活用しないアスペクト形式は、実は、助詞や助動詞を下接することによって、まるで動詞のように活用することができる。そういうわけで、動詞と名詞の区別について再考する必要がある。
|