本研究では、19世紀初頭に成立したヨーロッパ東洋学において、特にフィッセルやシーボルトが招来した日本関係文物の影響や、そこから当時のオリエンタリズム的思考と植民地主義的言語観と日本語との関係や、比較歴史言語学研究にヨーロッパ東洋学(特に日本学)が果たした役割について、言語思想史的知見を加えながら、学説史的に検討を試みた。具体的には、ホフマンやアストンなどと比して、これまで日本語学史的にほとんど言及されることのなかったレオン・ド・ロニーやアウグスト・プフィッツマイヤーらの日本語研究などを中心として、ヨーロッパ東洋学における日本語論を日本語学史的に精査し、その研究史的意味について検討を行なった。
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