研究課題/領域番号 |
26370549
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
竹内 史郎 成城大学, 文芸学部, 准教授 (70455947)
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研究分担者 |
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
下地 理則 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (80570621)
坂井 美日 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 特別研究員(PD) (00738916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分裂自動詞性 / 格標示 / 格標示システム / 本州方言 / 九州方言 / 琉球方言 / 語順 / 有生性効果 |
研究実績の概要 |
本研究の1年目の主な成果は2度の研究会を開き、意見を交換したことにある。2度の研究会において、研究代表者、研究分担者そして研究協力者がそれぞれ研究発表を行い、問題とその解決への道筋を共有することができ、また、今後の研究の進むべき方向について議論し一定の見通しを得ることができた。 1回目の研究会(2014年9月12日、成城大学)では、坂井美日「九州方言の格標示報告」、下地理則「南琉球与那国語における自動詞主語の格標示」、竹内史郎・松丸真大「日本語の他動詞の項の識別にはたらくストラテジー─関西方言と東北方言の分析─」の発表をふまえて議論が行われた。個々の研究に関する質疑応答もさることながら、本州、九州、琉球におけるケースマーキングの研究が有機的に一体となって進んでいくことを可能とする観点を確認できたことの意義は大きいと思われる。というのも、本州、九州、琉球のバリエーションを示すことに記述研究としての価値があることに加え、格標示システムに関する研究において日本語方言および日本語史上のデータから一般言語学への理論的な貢献ができるという見通しが得られたからである。日本語方言および日本語史上のデータからの一般言語学への理論的な貢献という点について、より具体的に記せば、「活格性」「格組織」「格というカテゴリーの文法化」といった研究領域において新しい知見がもたらされることになると考えている。今後検討を加えていきたい。 2回目の研究会(2015年3月22日、滋賀大学)では、新永悠人「北琉球久高島方言の主語と目的語の標示」、下地理則「琉球方言における有標主格と分裂自動詞性」、竹内史郎「左方転位構文のタイプと歴史」の研究発表が行われた。前回の議論を引き続いて深めていきつつも、議論は一方で、琉球方言の歴史と中央語の歴史との整合性、さらには日本祖語の格標示における分裂自動詞性の可能性にまで及んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の見通しのとおり、本州、九州、琉球におけるケースマーキングの研究が有機的に一体となって進んでいくことを可能とする観点を見出すことができ、今後の研究の方向性を確認できたからである。また、来年度、再来年度において、研究成果を公表していく準備も整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者として新たに新永悠人氏、後藤睦氏の2名を加える。新永悠人氏は奄美方言の専門家であり、北琉球の方言の記述・考察に力を発揮してくれると思われる。また後藤睦氏は日本語史を専門としており、彼女の加入によりケースマーキングの歴史の記述が進んでいくものと思われる。 本科研グループと他の研究プロジェクトおよび科研グループとの共同研究会の開催が計画中であり、現在もろもろの調整が行われている。また、本科研の研究グループが学会のワークショップに応募し研究成果を発表する計画もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定であったPCの購入を次年度に持ち越すことにしたため。並びに、今年度計画していたが、先方の都合によりフィールド調査を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度購入予定であったPCの購入に使用する予定である。並びに、今年度計画していたにもかかわらず、行うことができなかったフィールド調査のための旅費として使用する予定である。
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