研究課題/領域番号 |
26370554
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
柏野 和佳子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 准教授 (50311147)
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研究分担者 |
木田 真理 政策研究大学院大学, 政策研究科, 講師 (80401727)
丸山 直子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00199936)
佐渡島 紗織 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20350423)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文体 / 書き言葉 / 話し言葉 / 辞書 / 位相 / 文章作成 / 学術的文章 / コーパス |
研究実績の概要 |
(1)日本語の作文技術に関する文献及び,書き言葉と話し言葉の相互関係に関する文献を広く収集し,そこから文体差のある語や表現を抽出している。2016年1月時点,書籍約130冊,論文約250件を調査し,そのうち32冊の書籍と,31件の論考より,留意すべき「書き言葉的」と「話し言葉的」の語のペアを延べ1,172組,表現のペアを延べ80組抽出した。ペアとして文献で取り上げられていた最多件数の語は,「書き言葉的」では「非常に」の28件であり,「話し言葉的」では「だから」の27件であった。これらは文章作成時に,話し言葉的な「すごく」~「やばい」は書き言葉的な「非常に」と言い換えることが,話し言葉的な「だから」は書き言葉的な「したがって」~「よって」のいずれかと言い換えることが,文献に提案されていたものである。また,両方に分類される語が少なくない。例えば,書き言葉的「とても」は話し言葉的「とっても,すごく」の組として示されている。話し言葉的「とても」は書き言葉的「たいへん,非常に,極めて,著しく」の組として示されている。話し言葉と書き言葉の違いははっきり分かれるものではなく,段階的なものであることがわかる。以上についてを報告としてまとめ,次のとおりポスター発表を行った。 柏野和佳子・田嶋明日香・平本智弥・木田真理「学術的文章作成時に留意すべき「書き言葉的」「話し言葉的」な語の文献調査」『言語処理学会第22回年次大会発表論文集』pp.1041-1044. (2016年3月10日) (2)9月に研究打合せ会を開催した。進捗報告に加え,星野より,「ベトナム人卒業・修士論文の接続詞について」の発表があった。 (3)丸山が,格助詞について話し言葉のコーパス,書き言葉のコーパスを用いた分析を行い,論文2編,ポスター発表1件の成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語の作文技術に関する文献及び,書き言葉と話し言葉の相互関係に関する文献の調査により文体差のある語を収集する方法が,類語辞典類を用いるよりも効率的,効果的であったため,本年度はその方法により収集,整理をさらに進めた。年度末には学会にてポスター発表を行い,文体差のある語のリスト作成について有意義な意見交換ができた。文献調査は,ほぼ網羅できる見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた文体差のある語のリストの整備,分析を行い,文体差に注意すべき語とその用法をまとめた言語データベースを作成し,公開する。また,広く収集した,日本語の作文技術に関する文献及び,書き言葉と話し言葉の相互関係に関する文献の一覧表も公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,国外での発表を予定し,そのための旅費を計上していたが,国内の学会にて発表したため,旅費の支出が少なかったためである。 また,役務の謝金の支出を予定していたが,それも行わなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
成果をとりまとめ,学会発表を行う。また,成果とりまとめのための役務の謝金に使用する。
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