研究課題
最終年度も、これまでの年度と同様、中英語から初期近代英語にかけての言語変化と連続性全般を研究の対象としながら、特に綴り字の変化、動詞の構文の変化に焦点を当てて研究を進めた。初期近代英語期はラテン語やギリシャ語への関心が高まった時代で、すでに中英語までに「崩れて」いたラテン語・ギリシャ語等からの借用語の綴り字が、初期近代英語期に語源に忠実な形に変更されることは知られている。この語源的綴り字の復活は、一般に初期近代英語期の現象とされるが、実際にはすでに中英語期にも観察されることがわかっており、中英語・初期近代英語の両方の視点からの議論が必要である。2017年度は、名詞と動詞のdoubtを例に、中英語期に一般的であったdouteなどのbを用いない綴り字がbを獲得していく過程を分析し、論文として発表した。また2014年度から行っている動詞の構文の史的変化についても、さらに研究を深めた。動詞forbidの構文の中英語から初期近代英語にかけての変化、およびその史的変化と現代英語との関係については、すでに2016年度までに論文を作成している。一方、2014年に口頭発表を行った使役動詞makeの初期近代英語期の変化(makeがto不定詞を取る構文から原形不定詞を使用する構文への推移)については、2016年度~2017年度にかけてさらに継続的に分析を行った。2017年度までに論文は完成したが、この報告書の作成段階では、印刷中である。その他にも、研究の全期間を通じて、否定の副詞、-s語尾を持つ副詞の中英語から初期近代英語にかけての変化について、コーパス言語学の手法による実証的調査を行った。
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Memoirs of the Faculty of Letters, Kyoto University
巻: 57 ページ: 99-133
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/229556/1/lit57_99.pdf