研究課題
本年度は英語の懸垂分詞節由来の表現の意味変化について、Supposing節の脱従属化現象と、Grantedの応答機能への変化のプロセスについて調査し、検討した。懸垂分詞節であるsupposing節がif節と同じような条件節として機能することは文法化理論でも指摘されていたことだが、本研究ではこのsupposing節がif節と同じように従属節単独で用いられる事例を対象とし、それが「構文化」と呼ばれる1つの独立した意味を担うようになるプロセスを概観した。また、supposing構文の補文への入力として、他人の発話をそのまま受けるというメタ言語的な性質のものが関わってくることを指摘、議論した。Grantedに導かれる懸垂分詞節については、時代を追う毎に従属節の主節化が見られると同時に、grantedで結びつけられる前後の文関係が論理的な逆接関係から単なる「異なる話題の方向性を持つ関係」へとゆるめられていくことを考察した。前者はイギリス認知言語学会で発表し、論文にまとめた。後者も論文として公刊され、近く国際学会で発表予定である。いずれの例も対人関係的な意味を発達させていることから、懸垂分詞節の構文化は対人関係化だとまとめられる可能性を示唆した。
2: おおむね順調に進展している
事例研究を積み重ねるという当初の計画を2つ満たすことができており、順調に推移している。
今後は事例研究をもう少し積み重ね、複数の事例にわたって共通してみられる特徴について抽出していきたい。また、他の言語との比較も行う予定である。
予定していた国際学会発表を一件見送ったため、繰り越すこととなった。
当初次年度には予定していなかった国際学会での研究発表旅費に当てる。また次年度以降にワークショップ開催(時期は現時点で未定)を予定しているので、そのために招聘する共同研究員の旅費等にもあてたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち謝辞記載あり 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
『言語研究の視座―坪本篤朗教授退職記念論文集』開拓社
巻: - ページ: 310-324.
『言葉のしんそう(深層・真相)―大庭幸男教授退職記念論文集』英宝社
巻: - ページ: 399-410
『時空と認知の言語学 III 』(大阪大学大学院言語文化研究科 特別プロジェクト)
巻: - ページ: 31-40
Evie Cousse and Ferdinand von Mengen (eds.) Usage-Based Approaches to Language Change, a series of Studies in functional and structural linguistics, John Benjamins.
巻: - ページ: 117-145.
10.1075/sfsl.69.05hay
日本英文学会第86回大会Proceedings,
巻: 86 ページ: 115-116.