研究実績の概要 |
本研究の目的は英語の史的コーパスHelsinki Corpusを資料として、A and/or/nor/ne B形式(例 time and tide, north or south等)のword pairs (別名binomials)の調査を行うことである。H27年度の当初予定では、初期近代英語期の3期のテキスト, I (1500-1570), II (1570-1640), III (1640-1710)を対象としてword pairsのジャンル間での使用頻度等を調査し、中英語期の調査結果と比較し、英語のジャンルの発達を考察する予定であった。 しかしながら、H26年度の研究で用例収集に予想以上に時間がかかり研究に遅れが生じ、またH27年度の予定は初期近代英語の調査予定であったが、実際に調査してみると用例が非常に多いために、本年度はまず、未調査であった中英語期のI (11050-1250, II (1250-1350)の2期を対象に切り替えて調査を行い、結果をまとめた。 この初期中英語時期は一部ロマンスも含まれているものの宗教作品が多いために後期中英語との比較が困難で、ジャンルの発達を考察するという当初の目的が困難であった。また、後期中英語の宗教作品との比較に限定しても、後期中英語の宗教作品のサブジャンルが初期中英語よりも豊富であるために、比較が難しいという問題があった。次にword pairsを構成する個々の語の語源については、予想通り、初期中英語期の方が、後期中英語期と比べて、フランス語からの借用語が少なく、本来語要素から構成されるword pairsが優勢であることが確認できた。
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