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2015 年度 実施状況報告書

「推意と推論規則に関する認知語用論的研究 ー推意導出のメカニズムー」

研究課題

研究課題/領域番号 26370566
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉村 あき子  奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40252556)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード推意導出の推論規則 / オンライン発話処理 / 演繹 / 抽象化 / 帰納 / アブダクション / 関連性理論 / 認知語用論
研究実績の概要

発話によって伝達される意味には、明示的意味(表意)と非明示的意味(推意=いわゆる含意)があることはよく知られている。Sperber and Wilson (1986)は、発話の認知処理モデルを提案し、中央系の性格から、オンライン発話処理における推論には演繹規則の削除規則のみが関わると主張するが、ある種の発話はそれでは導出できない推意を伝達し、推意導出に関わる推論はもっと多様であることをこれまで明らかにしてきた。本研究は、日英語の推意に関わる様々な言語現象のデータを対象に、発話の推意導出メカニズムを明らかにすることを第1の目標とする。これは、推意導出に関係する推論規則の特定とプロセス制御に関する一般的制約の規定提案を意味し、最終的には、コミュニケーションにおいて人が行う推論メカニズムの全体像解明を目指すものである。
平成27年度は、推論規則に関する研究の現状確認を継続する中で、コミュニケーションにおける推意導出に貢献する推論規則の全体像は、推論規則を研究する論理学では一般的に仮定されている、演繹と帰納という2分法ではなく、Peirceが主張する、deduction (演繹)、induction (帰納)、abduction (アブダクション)という3分法によって、より的確に捉えられる可能性が高いと見当をつけ、該当データの収集を行なった結果、証拠となるデータを得ることに成功した。これは、推意には、帰納とアブダクションによるものが存在すること、すなわち、発話のオンライン認知処理に削除規則以外の推論規則が働いていることを明らかにしたことを意味し、認知的視点からの新たな推意の分類の可能性が生まれる。またこれは同時に、発話のオンライン認知処理を制御する上位の制御機構の存在を示唆し、その役割を果たす上位機構の可能性も形を取りつつある。もう少しデータ量がほしいところだが、順調に進んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

証拠のデータ量がもう少し欲しいところだが、仮説設定と仮説確証が順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

予定通り進める。

次年度使用額が生じた理由

データ収集をする対象の選定に時間がかかったこと、アルバイト人数が予定よりも少なかったため。

次年度使用額の使用計画

当該データ収集は、平成28年度も研究計画と並行して進めるので、大きな修正は必要ない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] 「演繹される推意と創作される推意」2016

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 雑誌名

      Papers from the Thirty-Third Conference (November 21-22, 2015) and from the English International Spring Forum (April 18-19, 2015) of The English Linguistic Society of Japan (JELS 33)

      巻: 33 ページ: 209-215

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 「コミュニケーションにおける推意導出プロセスと推論規則」2015

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 学会等名
      第95回待兼山ことばの会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2015-12-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 「演繹される推意と創作される推意」2015

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 学会等名
      日本英語学会第33回大会
    • 発表場所
      関西外国語大学
    • 年月日
      2015-11-21
    • 招待講演
  • [学会発表] 「推意を導出する推論規則について」2015

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 学会等名
      第12回奈良女子大学 英語学・言語学 研究会
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      2015-09-01
  • [学会発表] 「コミュニケーションとことば」2015

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 学会等名
      北海道大学言語学セミナー
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2015-08-03
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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