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2017 年度 実績報告書

「推意と推論規則に関する認知語用論的研究 ー推意導出のメカニズムー」

研究課題

研究課題/領域番号 26370566
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉村 あき子  奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40252556)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードアブダクション / 抽象化と帰納 / 拡張的推意 / 分析的推意 / 関連性誘導による発見的解釈過程 / オンライン発話処理 / 推意導出の推論規則 / 演繹と削除規則
研究実績の概要

発話によって伝達される意味には、明示的意味(表意)と非明示的意味(推意=いわゆる含意)がある。Sperber and Wilson (1986) は、中央系の性格から、オンライン発話処理における推論には演繹規則の削除規則のみが関わると主張するが、ある種の発話はそれでは導出できない推意を伝達している。本研究は、推論導出に関係する推論規則の特定とプロセス制御に関する一般制約を規定・提案し、コミュニケーションにおける推論メカニズム解明を目指すものである。
平成29年度は、拡張的推意導出プロセスに対して働く上位制御機構の特定を行った。例えば、イソップ物語の狼少年の話を喩えに用いるストーリーメタファーなどでは、抽象化(帰納)によって推意が引き出される。Peirceが提案した第3の推論規則「アブダクション」、すなわち「驚くべき事実Cが観察される。しかしもしAが真であればCは当然の事柄であろう、よって、Aが真であると考えるべき理由がある」というパタンを取る推論規則、によって推意が引き出されている事例も多数確認された。つまり、人のコミュニケーションにおけるオンライン推意導出プロセスに貢献する推論規則として、従来からの「演繹」に加えて「抽象化」(帰納)と「アブダクション」を特定したことになる。
一方Sperber and Wilson (1986)が「オンライン発話処理における推論には演繹規則の削除規則のみが関わる」とした理由は「それ以外の推論規則がオンラインに乗ると止まらなくなる」からであったが、実際にはストップしている。つまりは何らかの制御機構が働いているのである。本研究で提案した分析的推意と拡張的推意の2分法に基づき、その上位のプロセス制御機構として、大きくは関連性の認知原則を根本原則とし、具体的には関連性誘導による発見的解釈過程がその役割を果たしていることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「分析的推意と拡張的推意」2017

    • 著者名/発表者名
      吉村 あき子
    • 雑誌名

      『欧米言語文化研究』第5号

      巻: 5 ページ: 23-45

  • [図書] 言語研究と言語学の進展II2018

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子・早瀬尚子
    • 総ページ数
      293
    • 出版者
      開拓社
  • [図書] 『否定の博物誌』2018

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子・濱本秀樹・加藤康彦
    • 総ページ数
      645
    • 出版者
      ひつじ書房

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公開日: 2018-12-17  

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