研究課題/領域番号 |
26370573
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小倉 美知子 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20128622)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 英語史 / 古英語 / 中英語 / 迂言形 / 進行形 |
研究実績の概要 |
本研究では、古英語と中英語の主な作品について、受動構文、完了形、進行形、非人称構文の迂言形など、様々なタイプの構文をすべて調査し記述するため、かなりの時間を要した。しかしこの基礎データが重要であるため、この1年間は充実したものとなった。通時的に各々の構文がいかに変化したかを記録する必要があり、その結果を機会があるごとに公表していく。当該年度に関しては、ベルギーでの7月の国際歴史英語学会においてワークショップで発表し他 binomials の調査では、古英詩の網羅的調査が役に立ち、語彙のレベルだけでなく構文のレベルでも並列表現を見ることの必要性を強調した。また9月のロンドンでのキングズカレッジと慶應大学の共同国際会議では、自身の発表は基調講演のためキリスト教語彙の受容についての話であったが、2つの統語論のセッションで司会を務め、質問とコメントを行う上で、本研究の成果の一部を公にした。この会議の間、オックスフォードに滞在し、Bodleian Library にて写本研究を行うと共に、Eric G. Stanley 名誉教授と複数回会見し、本研究に対する意見を求めた。また12月には同志社大学で開催された日本中世英語英文学会30周年記念大会において非人称構文と再帰構文との古英語における問題点を中心に発表を行った。出版では、イギリス・アメリカの中世研究家6名と共に論文集を企画、自身が編集した Aspects of Anglo-Saxon and Medieval English を Peter Lang 社から出版した。この中の論文では古英語の進行形に関する問題点を指摘している。また長年にわたる英語史の研究のまとめとして『変化に重点を置いた英語史』(英宝社)を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのところ、非人称、再帰表現、進行形、Be動詞と同様に用いられる動詞など、いくつかのテーマで口頭発表と論文による成果発表を行ってきている。また国際会議での発表やヨーロッパの出版社からの出版依頼も複数来ているので、できるだけ効果的な公表の仕方を考慮中である。また、国際英語正教授学会の国際実行委員になっているため、ロンドンのJane Roberts 名誉教授をはじめ多くの中世研究者に会う機会が増えているので、あと2年の間には研究結果を著書の形でまとめられると信じている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年4月末から5月初めにかけてポーランドで開催される国際中英語学会(ICOME 9)nにおいて基調講演を行うことが決まっており、その際には非人称・再帰構文の中英語における分布状況を報告する。6月には近代英語協会のゲストとしてLeena Kahlas-Tarkka 名誉教授を呼ぶため、ディスカッションを行う予定である。また7月には国際英語正教授学会の次回の準備会議がロンドンであるため、その機会をとらえて中世研究者達と会見するだけでなく、British Library にて写本研究を行い、また8月には国際アングロサクソン学会においてスコットランドの研究者たちと会合を持つことになっている。2016年7月には国際英語正教授学会の本会が行われるので、そこで2編は論文を発表する予定である。
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