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2016 年度 実施状況報告書

日本語話者による英語発音を対象とした学習者コーパスの作成と記述的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370576
研究機関中央大学

研究代表者

牧野 武彦  中央大学, 経済学部, 教授 (00269482)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード日本人英語学習者 / 音声 / コーパス / プロソディー / ラベリング体系 / 文セット
研究実績の概要

研究計画のうち、「(a)コーパスの中で完成済みの分節音部分を用いた記述的研究」については、26年度に口頭発表したものを論文化して刊行することを目指すとしていたが、英語の音韻体系においてはプロソディーが分節音に与える影響が大きく、分節音のみで論文化しても妥当性がどうしても下がってしまう。そのため、これについては棚上げし、「(b)韻律的特徴の表記を追加することによるコーパス全体の完成」を優先的に完了させ、その上で論文に持って行くという方針に変更した。
韻律的特徴の表記は、27年度実績の中で考案した、Intonation Variation Transcription System を土台とした日本語・英語の混合プロソディーのための表記体系を用いる。既に分節音について表記が終わっているコーパスにラベリングを付け加える作業に入ったが、28年度は時間的制限が厳しく、年度内に完成は難しいことが予想された。
そのため、なるべく早く何らかの成果を得ることを目的として、コーパスの一部分についてのデータ完成を優先させることにした。当該の一部分は、先行研究において、アメリカ人英語話者による聞き取り・復唱タスクに用いられ、結果のデータが得られているものであり、これを用いて現実の音声とその聞き取られ方の対応関係を見ることにしたのである。しかし、この限定されたデータについても完成には至らなかった。
「(c)UME-ERJの欠点を補った文セットによる音声データ収録」については、そのための文セット作成への着手そのものができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

保持事業期間延長承認申請書にも書いたとおり、勤務校において教員組合の書記長職を務めたこと、および、28年12月に刊行された英和辞典の編集委員の一人として大量の原稿を書かなければならなかったことが理由で、研究に割くべき時間の8割方が食われてしまい、プロソディーのラベリングデータの作成、ラベリングとアメリカ人による復唱データの対照データの作成、UME-ERJの欠点を補った文セットによる音声データ収録のための文セット作成がいずれも未完となったことによる。

今後の研究の推進方策

まずは比較的データ量の少ない、分節音ラベリングとアメリカ人による復唱データを突き合わせて対応関係を見る作業を完成させ研究発表にまで持って行くことを目指す。
それと並行してプロソディーのラベリング作業を進め、年内の完了を目指す。これを元にした記述的研究については年明け3月までの間に何らかの成果を上げることを目指すが、研究発表については次年度へと先送りせざるを得ない可能性もある。
UME-ERJの欠点を補った文セットによる音声データ収録については、数十人単位の大規模なものを今回の補助事業期間に行うことは断念する。但し、29年度に新たに研究分担者として参加する別の科研費プロジェクトで、数名の日本語話者の日本語音声のラベリング作成を求められているため、その同じ話者に、これから取り急ぎ作成する英語の文セット(これは別プロジェクトの研究分担者としてではなく、このプロジェクトの研究の一部として作成する)を併せて収録することを依頼する予定である。こうして得られる音声データは、英語を発音している日本語話者自身が元々持っている日本語発音を得られるという意味で、英語の発音しか収録されていないというUME-ERJの欠点を補うものであり、今回の補助事業期間に行うことを目指していた音声収録の目的を、人数が少なく英語音声のスキルの幅が限定されるという問題を除けば、部分的には果たしてくれるものであり、また、文セットを作成するという段階までは、このプロジェクトの研究計画の遂行に、多少ではあるが寄与するものである。

次年度使用額が生じた理由

研究成果の発表に至らなかったため、予定よりも旅費支出が1回少なくなったこと。

次年度使用額の使用計画

海外学会での研究成果発表に用いる。

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公開日: 2018-01-16  

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