本研究では、音韻理論の最新成果を踏まえつつ、音韻獲得における音韻知識および音韻意識に対する理解を深めるとともに、理論の妥当性について検証していくことを目的としている。 日本語の韻律構造の本質に迫るべく、従来研究の主軸に据えていた音韻発達データに加え、ディスレクシア児における韻律構造の習得過程なども参考としながら、音節やモーラの獲得プロセスと読み書き能力の関係にも着目した。その結果、表記については個人差が認められるものの、モーラと音節の習得については、一定のパターンが観察され、音節数とモーラ数の不一致が、特殊モーラの習得を困難にしている要因の1つとして大きな影響力をもつことが示唆される結果が得られた。 また、本研究では、小学校における英語必須化の動きを受け、母語習得のメカニズムを理解するうえで重要な役割を果たしている有標性理論が、外国語としての英語学習においても重要であるという視点から、有標性の基本概念を活用した英語学習の手助けとなるような音声視覚化システムの開発にも関与した。
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