アカデミック・プレゼンテーションに関する教材開発研究の最終年度となる29年度は、動画の作成と試作版教材を用いての他機関での使用を行い、最後に試用者からのフィードバックを得、紙媒体の教材の修正および動画の追加作成を行った。 具体的には、4月に動画3本の撮影を実施した。1)留学生による学科紹介場面、2)留学生と日本人学生との混合クラスを想定した、留学生によるゼミでの文献調査の発表場面、3)本教材の最終的に目指す卒業研究発表場面(日本人学生が発表)の3本である。画面構成においては、発表者の発話と説明する資料を1画面に2つ示し、状況を把握しやすく配置した。音声からの発表スピーチの聴き取りにも考慮し、字幕ありと字幕なしの両方を準備し、学習者の目的・レベルに合わせて活用できるようにした。年度後半においては、海外も含めた4機関5コースから協力を得、試用した。フィードバックにおいては、これまでなかったプレゼンテーションに関する教材であり、対話を重視したスタイル、スライド作成に関する説明および練習、心理的な不安に関する情報提供のページ等が非常に有効であったとの評価が得られた。また、授業を受けた留学生からは、質疑応答時の受け答えに関するページが非常に有用であるとのコメントが聞かれた。実際の研究室での発表準備に本教材を用いて発表原稿を作り、無事発表を行うことができたという報告も受けた。一方で、研究紹介の動画が理系だけであることや、紙教材のタスクの指示がわかりにくいなどの指摘もあった。これを受け、最終段階の時期においては、紙教材の修正作業を行うとともに、文系の学習者にも関心がもてる話題で研究紹介の動画をもう1本作成した。最終的に紙媒体の教材および4本の動画からなるプレゼンテーションの教材を開発した。
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