研究課題/領域番号 |
26370586
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
許 明子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10322611)
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研究分担者 |
関崎 博紀 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30512850)
Bushnell Cade 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30576773)
井出 里咲子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80344844)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パーソナル・テリトリー / 発話内容 / 表現形式 / 会話の展開 / コミュニケーション活動 / 会話展開 |
研究実績の概要 |
平成27年度は日本語母語話者と日本語学習者のパーソナル・テリトリーへの認識と表現形式、表現方法について、両者の会話の形式と内容を中心に分析を行い、研究発表を行った。日韓のペアで行った会話を分析した結果、韓国人日本語学習者は日本語母語話者に比べ、相槌の頻度が低く、約3分の1程度にとどまっていることが明らかになった。両者の相手に対する印象、相手とのコミュニケーションについて行ったアンケート調査の結果、日本語母語話者は韓国人学習者に対して非常に良い印象を持っている反面、韓国人学習者は日本語母語話者に対して距離感を感じていたという回答が得られた。以上の分析結果について、カナダ日本語教育振興会2015年次大会において研究発表を行った。 さらに、初対面の日本語学習者と日本語母語話者がどのような手続きを経て、人間関係を構築していくのかについて、以下の4つの観点、①パーソナル・テリトリーの内容への言及の頻度、②パーソナル・テリトリーの内容について言及する際の会話の展開の仕方、③相手との会話の進め方、④会話文の中に見られる笑い、に焦点を絞り、会話分析を行った。その結果、日本語学習者と母語話者の間には会話形式や内容、進め方に顕著な違いが見られることが分かった。しかし、初対面である両者は共に友好な関係を築き、円滑なコミュニケーション活動を遂行するために様々なストラテジーを駆使していることが分かった。以上の研究成果については、語用論学会第18回研究大会においてワークショップを行い、研究成果を発表した。 また、日本語学習者と母語話者が会話をパーソナル・テリトリーへの踏み込みと会話展開にどのような違いが見られるのかについて分析を行い、第46回日本語教育方法研究会において研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の2年目に当たり、会話の文字起こしや分析が順調に進んでおり、会話の分析結果については日本国内外の学会、年次大会において研究発表を行っている。なお、アメリカ、オランダの日本語学習者を対象とした会話の調査を追加で実施し、会話データの処理を行っている。アジアを中心とした漢字圏の日本語学習者のみならず、非漢字圏の日本語学習者を研究対象として調査を行い、分析を続けている。 以上の理由により、本研究課題の遂行はおおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は非漢字圏日本語母語話者(アメリカ、オランダ、フランス)の学生を対象にパーソナル・テリトリーへの認識について追加調査を実施し、漢字圏日本語学習者(韓国、中国)との同異について分析を行う。パーソナル・テリトリーへの認識と発話内容、会話の表現形式、会話展開の仕方について比較分析を行い、研究成果を発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に実施する予定だった米国・カナダでの調査、研究成果の発表を次年次に実施することにより、差額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度カナダにおいて開催される予定の日本語教育年次大会において研究発表を行う予定である。
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