研究課題/領域番号 |
26370588
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
嶋津 拓 埼玉大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (90437848)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本語の普及 / 国際文化交流事業 / 意識調査 / インターネット調査 |
研究実績の概要 |
国際交流基金が3年ごとに実施している「海外日本語教育機関調査」の結果によれば、少なくとも統計上、海外では1970年代から21世紀初頭まで、一貫して日本語学習者数が増加傾向にある。一方、日本国内では、1972年に国際交流基金が設立されてから、海外に対する「日本語の普及」(1972年法律第48号「国際交流基金法」第23条および2002年法律第137号「独立行政法人国際交流基金法」第12条)事業が本格化し、今日では「国際相互理解」を増進するための「国際文化交流事業」(前記「独立行政法人国際交流基金法」第3条)における「重点領域の一つ」((国際交流基金(2014)『海外日本語事業中期重点方針:平成24~28年度』1頁)に位置づけられている。 しかし、この「日本語の普及」という営みに対する日本国民の意識に関しては、それに焦点を合わせた総合的かつ大規模な調査が、過去に一度も実施されたことがない。このような状況を踏まえ、研究代表者は2015年5月に日本国籍を有する成年男女約5,400人を対象に、彼らの日本語普及事業に対する意識について、インターネット調査を行った。 その結果、日本語学習者を「増やす」という営み(日本語普及事業)は、国際文化交流事業全体の中で必ずしも優先度の高い事業とは見なされていないこと、また、とくに若い世代において、日本語学習者が「増える」という現象に比べて高くは評価されていないこと等がわかった。さらには、日本語普及事業のみならず、日本語学習者の増加という現象に対しても、世代間で意識の違いがあることがわかった。 これらの結果については、2016年4月25日発行予定の『日本語教育』第163号に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、当初予定していた大規模調査(海外日本語普及に対する日本国民の意識調査)を実施した。また、その結果を査読誌に投稿したところ、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度に実施した大規模調査(海外日本語普及に対する日本国民の意識調査)の結果に考察を加え、2本の論文を発表する予定にしている。 また、平成28年度の後半には、平成27年度調査を補完する第二次調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
数社から見積書を徴取したところ、平成27年度に実施したインターネット調査の所要金額が、当初予定額よりも廉価だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、平成27年度調査を補完する第二次調査を実施することを予定しており、そのために、当初は平成27年度に使用を予定していた金額を平成28年度に使用する。
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