日本の言語政策のひとつに、海外に対する「日本語の普及」がある。また、日本政府やその関連機関は、この「日本語の普及」事業の「必要性」や「重要性」を、その広報活動等において強調しているのだが、かかる事業の目的や実施方法・実施規模については、国民的あるいは社会的な政策論争の対象となることが、これまでほとんどなかった。また、「日本語の普及」に焦点を合わせた世論調査も実施されたことがない。しかし、日本が今後も「日本語の普及」という営みを継続していくのであれば、それに対する日本国民の意識や認識についても調査・分析しておく必要があろう。本研究は、その意識や認識に関する調査・分析を行い、もって海外に対する「日本語の普及」事業の将来的な在り方について展望することを目的として、実施した。平成29年度は、「日本語の普及」を取り巻く環境に対する日本国民・日本居住者の意識を探るべく、また、平成28年度に実施した調査を補完するため、2回のインターネット調査を実施し、その調査結果を下記2本の本文にまとめた。 嶋津拓(2018)「外国人移住者と滞日留学生に対する言語政策についての日本国民の意識-インターネット調査の結果から-」埼玉大学教養学部編4『埼玉大学紀要(教養学部)』第53巻第1号、71-89 嶋津拓(2018)「日本語教育という活動に対する日本居住者の意識について-インターネット調査の結果から-」埼玉大学日本語教育センター編『埼玉大学日本語教育センター紀要』第12号、3-13
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