研究課題/領域番号 |
26370589
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高 民定 千葉大学, 文学部, 准教授 (30400807)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 外国人居住者 / 日本語習得 / 言語習慣 / 言語管理 / 多言語使用 |
研究実績の概要 |
本研究は日本の外国人居住者の日本語使用と習得問題を、「言語習慣」と「評価」という側面から考察する研究である。初年度である昨年度は、多言語環境に暮らす国内の外国人居住者の言語習慣と言語習得研究について準拠枠を得るために関連する研究分野から外国人居住者の日本語使用と習得問題がどのように取りあげられているかを整理・考察した。と同時に、本研究の調査対象となる3つの言語使用グループの諸条件や関連要素の把握のために予備調査に集中した。具体的には研究実施計画に基づき、以下の調査を行った。 1.文献調査 国内の外国人居住者の言語使用と言語問題に関する先行研究を日本語教育研究、第二言語習得研究、社会言語学研究、言語管理研究など関連する研究分野から収集し、文献のデータベースを作成した。 2.日本語使用に関する予備調査 調査計画の有効性と問題点を検討するために外国人居住者を対象にアンケート調査とインタビューを行った。まず外国人居住者が日本でどのようにコミュニケーションに参加し、その時どのような言語を使い、また日本語の使用においてどのような言語問題を感じているかを、留学生と社会人の外国人居住者を合わせ63名にアンケート調査を行った。またその結果を本研究で分類した3つの言語グループに分析・考察し、中間報告としてまとめた。次にアンケートでの結果を基にしながら、多言語使用者5名に日本語の使用を含む日本での言語使用に関するインタビュー調査を行った。インタビューはすべて文字化し、現在その内容を分析中である。また、外国人居住者の日本語の習得や支援の現状を知るために外国人居住者が多い浜松市の多文化共生センターを訪れ、担当者に話を伺うなど理解を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた文献整理と予備調査は順調に実施された。とくに予備調査として様々な外国人グループに日本でのコミュニケーション参加や日本語使用、問題についてアンケート調査を行っており、その調査結果を通して本研究で立てた問題意識と調査対象の分類の有効性を検証することができた。ただし、個別のインタビュー調査や会話データの収集に関しては、初年度に計画していた量より少なく、次年度への課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の調査で十分なデータが収集できなかった外国人居住者へのインタビュー調査を増やしながら、引き続き調査協力者の社会言語学的プロフィールを作成する。また実際の日本語使用場面を中心に会話データの収集も行う。複数の調査からデータ収集を行うことで言語使用の量的・質的バリエーションをさらに確保していく。具体的には、これまで収集してきた使用場面のデータを基に日本語の使用が外国人居住者にどのように捉えられ、またどのように評価されているかを分析・考察し、日本語の使用や習得をめぐる言語管理の実態を把握する。また調査によって得られた中間結果を、関連する学会や研究会で発表し、関連する研究者と意見交換を積極的に行い、本研究の考察の質を高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は当初の予定を変え、アンケート調査を中心に予備調査を行った。そのため、個別のインタビュー調査で使う予定だった文字化のための謝金の予算が一部しか使用できず、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
個別のインタビュー調査は現在進行中であり、次年度はさらにインタビューや会話収録による調査を増やして行く予定であり、そのための「謝金」の経費の確保が引き続き必要である。
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